ドイツ1部、ブンデスリーガに所属するVfBシュトゥットガルトは、昨2021/22シーズン得失点差の末「昇格・降格プレーオフ圏」を抜け出し、何とかステータスを維持することができた。
しかし長い歴史で見ればシュトゥットガルトは本当に豊かなクラブである。
そして何年にも渡ってシュトゥットガルトは「才能の宝庫」であることを証明し続けてきた。同クラブが輩出した多くの選手たちが、今日のビッグクラブを支えている。ここでは、そんなシュトゥットガルトで育ったスタープレーヤーたちを、その売却金額と共にご紹介したい。

ベルント・レノ(アーセナル)
獲得金額:0ユーロ(0円)
売却金額:670万ユーロ(約9億2900万円)
ベルント・レノは、2003年からシュトゥットガルトのユースに所属し2011年トップチームに昇格。当初3番手のGKだったが、そうした状況でも歯を食いしばり、同年8月にバイエルン・レバークーゼンへ期限付き移籍。そこでの活躍が認められ最終的には670万ユーロ(約9億2900万円)でアーセナルへの移籍を果たすことになった。またマヌエル・ノイアーやマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンなどが激しい正GK争いを繰り広げる中、レノはこれまでにドイツ代表として9試合に出場している。

アントニオ・リュディガー(レアル・マドリード)
獲得金額:0ユーロ(0円)
売却金額:800万ユーロ(約11億900万円)
アントニオ・リュディガーは、2021/22シーズンまで所属したチェルシーでトーマス・トゥヘル監督の下、チャンピオンズリーグ制覇のキーマンとして輝いた。足元におけるボール捌きが大いに活躍したが、少なからずシュトゥットガルト(2011-2016)での経験が生かされている。シュトゥットガルトのアカデミーに所属してから2015年に800万ユーロ(約11億900万円)の買い取りオプション付きでローマにローン移籍するまでの間(2016年ローマは買い取りオプションを行使)、リュディガーはチームのディフェンスのファーストチョイスとして挙げられた。今2022/23シーズンから所属することになるレアル・マドリードは、最もシュトゥットガルトに感謝しなければならないクラブになるだろう。

ヨシュア・キミッヒ(バイエルン・ミュンヘン)
獲得金額:60万ユーロ(約8300万円)
売却金額:600万ユーロ(約8億3200万円)
ヨシュア・キミッヒがバイエルン・ミュンヘン(2015-)までたどり着く道のりは、思っている以上に簡単ではなかった。今でこそブンデスリーガ王者やドイツ代表の主力メンバーであるキミッヒは、2013年にRBライプツィヒへ移籍するまでシュトゥットガルトのアカデミーで名を上げた(2007-2013)。

セルジュ・ニャブリ(バイエルン・ミュンヘン)
獲得金額:0ユーロ(0円)
売却金額:10万ユーロ(約1400万円)
ヨシュア・キミッヒと同時期に、シュトゥットガルトのユースチームにはセルジュ・ニャブリも所属していた(2011-2012)。そしてニャブリのバイエルン・ミュンヘン(2017-)までの道のりは、キミッヒよりも明らかに複雑だった。10万ユーロ(約1400万円)で加入したアーセナル(2012-2016)では成功を手にすることはできず、期限付き移籍で所属したウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン(2015-2016)でも成功の呪縛は解かれることはなかったが、再びブンデスリーガの地に戻りヴェルダー・ブレーメン(2016-2017)ではゴール前での才能を取り戻し、転落しかけたキャリアをV字回復させた。

サミ・ケディラ(2021年引退)
獲得金額:0ユーロ(0円)
売却金額:1250万ユーロ(約17億3300万円)
サミ・ケディラは過去10年間のヨーロッパにおいて、もしかすると過小評価された名選手だったかもしれない。これまでレアル・マドリード(2010-2015)、ユベントス(2015-2021)そしてドイツ代表で活躍するも、ケディラのすべてはシュトゥットガルト(1995-2010)から始まったとを覚えておく必要があるだろう。2006年トップチームに昇格したケディラは、早速2006/07シーズンに22試合に出場を果たしシュトゥットガルトのブンデスリーガ優勝に貢献。後に1250万ユーロ(約17億3300万円)の移籍金でレアル・マドリードの一員となった。

フィリップ・コスティッチ(アイントラハト・フランクフルト)
獲得金額:540ユーロ(約7億4800万円)
売却金額:1250万ユーロ(約17億3300万円)
フィリップ・コスティッチはアイントラハト・フランクフルトの主力選手であり、左サイドから何年にも渡り、ルカ・ヨビッチ、アンテ・レビッチ、アンドレ・シウバへ絶妙なアシストを供給した。また2021/22シーズンのUEFAヨーロッパリーグ制覇にも貢献するチームに欠かせない存在だ。今ではブンデスリーガで無双状態のコスティッチだが、ドイツでのキャリアが始まったのはシュトゥットガルト(2014-2016)であることを忘れてはならない。コスティッチはシュトゥットガルトに所属した2シーズンで59試合に出場し8ゴールをマークし、後にハンブルガー(2016-2018)へ1250万ユーロ(約17億3300万円)で移籍した。

ティモ・べルナー(チェルシー)
獲得金額:0ユーロ(0円)
売却金額:900万ユーロ(約12億4800万円)
アントニオ・リュディガーがシュトゥットガルトで活躍を見せた同時期には、ティモ・べルナーも同じくプレーしている(2013-2016)。2020年にチェルシーに所属する前にはRBライプツィヒ(2016-2020)のストライカーとしてブンデスリーガのディフェンス陣を大いに脅かす存在だったが、そのゴールを量産するノウハウはシュトゥットガルトで準備したものだ。当時はウィンガーとしての出場だったが、公式戦103試合で14ゴールを記録した。