明治安田生命J1リーグで直近2連覇を果たし、今2022シーズン現時点4位の川崎フロンターレ。現在首位につけるのは横浜F・マリノスである。

しかし「川崎フロンターレには今季も優勝の可能性がある」と、J1第24節(8月7日)の対横浜FM戦(2-1)を見て感じた方々も多かったはずだ。

川崎はその横浜FM戦の勢いを維持し、今節のJ1第26節(8月20日)の対アビスパ福岡戦も4-1で勝利した。2022シーズン、リーグ戦の残り試合数は11試合。福岡戦の試合の振り返りと共に、川崎が優勝する可能性を見ていく。

川崎フロンターレに優勝の可能性はあるのか【J1リーグ2022】

攻撃陣の破壊力は相変わらず

今2022シーズン、川崎のJ1リーグでの無得点試合は3試合(第14節対サガン鳥栖戦0-0、第15節対湘南ベルマーレ戦0-4、第16節京都サンガ戦0-1)である。

川崎がリーグチャンピオンになった直近2年を振り返ってみると、2021年における無得点試合は2試合(第24節対柏レイソル戦0-0、第26節アビスパ福岡戦0-1)。2020年における無得点試合は4試合(第1節対サガン鳥栖戦0-0、第12節名古屋グランパス戦0-1、第26節コンサドーレ札幌戦0-2、第28節大分トリニータ戦0-1)であった。

チャンピオンになった年は、ほぼ毎試合得点を挙げて勝ち切っているゲームが多い。また2021年と2020年ともにリーグ戦における連敗が1度もない。チャンピオンになるチームはやはり「連敗しない」のが強さである。

第15節と第16節での連敗はあれど、無得点試合数からは攻撃陣の破壊力は相変わらずと言えよう。また、チーム内における新型コロナウイルス感染の苦境からも復帰してきており、前述の横浜FM戦と福岡戦のゲーム内容を見ていても攻撃陣に対して期待が持てる内容であった。

川崎フロンターレに優勝の可能性はあるのか【J1リーグ2022】

新たに増えた攻撃パターン

ロングボールを多用する傾向にはない川崎フロンターレであるが、第26節の福岡戦において63分、家長昭博による3得点目が生まれたシーンは、攻撃に新しい選択肢を増やすロングボールを活用したものであった。

同試合そこまでに2得点を挙げたマルシーニョの、ここでの中での動きは確かに素晴らしかったが、注目したいのはその前のシーン。

谷口彰悟から家長へのロングフィードである。このロングボールによって中を警戒していた福岡のディフェンス陣が外に広がり、マルシーニョがランするスペースが生まれた。

当然、中でのパス回しを警戒するからこそ効果があるプレーである。谷口のキック技術とそのボールを受け取る家長の技術が詰まった最高のプレーである。あそこまで足元にピッタリとボールを止められる選手はなかなかいない。このプレーが増えることで、強みである真ん中でのパスによる崩しが、より効果的になっていく。

川崎フロンターレに優勝の可能性はあるのか【J1リーグ2022】

不安要素は守備陣と試合スケジュール

そんな期待できる攻撃陣に対して、川崎のJ1優勝の可能性に不安要素を挙げるとしたら2つある。守備陣と試合スケジュールだ。

守備陣については、同福岡戦の失点シーンである21分。セカンドボールを拾った福岡の前寛之に対し、川崎の選手たちは人数が揃っているにもかかわらず、アプローチ(ボールに対して寄せる動き)をせずに自由な時間を与えてしまった。その結果、前と柳貴博は前を向くことができ、山岸祐也はフリーになるスペースを見つけることができた。前と柳に対して厳しく寄せていかないと、このような失点シーンは今後もあり得るパターンとなる。

また、試合スケジュールについては、川崎の残り試合数が他チームより多いことがポジティブではあるのは事実である。

しかし、上位陣との対戦を残していること、疲労が残る8月末から9月にかけての日程(第27節8月27日、第20節延期分8月31日、第28節9月3日、第29節9月10日、第22節延期分9月14日、第30節9月17日)がハードである。

残る暑さの中を戦い、シーズン後半の山場となるところで選手の疲労はピークとなるだろう。この連戦を乗り切ることができれば十分な休養が取ることができ、残り4試合戦えるスケジュールとなる。ここは鬼木達監督の腕の見せところである。

川崎フロンターレに優勝の可能性はあるのか【J1リーグ2022】

9月までの連戦を負け無しで乗り切れば

J1リーグはまだ混戦状態にある。勝ち点だけで見ると、6位のセレッソ大阪まで優勝の可能性があると言えるほどだ(8月21日時点の勝ち点:横浜FM48、広島44、鹿島44、川崎43、柏レイソル43、C大阪41)。

川崎が、まずは9月までの連戦で負けない試合をすることができれば、優勝が見えてくるはずである。2022シーズン、シャーレを掲げるチームはどこになるのか。毎試合目が離せない。

川崎フロンターレ2022J1第27節以降スケジュール

第27節:8月27日:鹿島アントラーズ
第20節延期分:8月31日:サガン鳥栖
第28節:9月3日:湘南ベルマーレ
第29節:9月10日:サンフレッチェ広島
第22節延期分:9月14日:名古屋グランパス
第30節:9月17日:柏レイソル
第31節:10月1日:北海道コンサドーレ札幌
第32節:10月8日:清水エスパルス
第25節延期分:10月12日:京都サンガ
第33節:10月29日:ヴィッセル神戸
第33節:11月5日:FC東京

編集部おすすめ