皆さんはご存じだろうか?リーグ優勝したチームにのみ与えられる称号を?それは「チャンピオン(CHAMPION)」である。日本ではサッカー国内3大タイトル(明治安田生命J1リーグ、天皇杯、ルヴァン杯)のうち、J1リーグのみの優勝チームに「チャンピオン」の称号が与えられ、カップ戦の優勝チームには「ウィナー(WINNER)」という称号が与えられる。
つまりリーグ戦は勝者ではなく、王者を決める戦いである。年間を通して戦うことの難しさは多くの人が知っているはずだ。単発的な強さではなく、常に強くなくてはいけない。どんな状況でも勝ち続けなくてはいけない。それが「チャンピオン」になるということである。
ここでは「チャンピオン」になるチームにはどのような共通項があるのか。過去3年間のJ1王者チームの各スタッツから要因を探っていこう。そして2022シーズンの優勝ポイントにも触れていきたい。

アウェイでの勝率は関係するのか?
過去3年のJ1リーグの優勝チームは、横浜F・マリノス(2019)と川崎フロンターレ(2020、2021)であった。今2022シーズンも現時点この2チームが首位を争っている。各年度の試合数、勝ち点、勝敗数、得失点等をまとめたスタッツ比較(下図)から見てみよう。

試合数が異なるため一概に比較を行うことはできないが、一般にディスアドバンテージ(劣勢)と言われるアウェイ試合を制することは関係するだろうか?アウェイにおける勝率に注目すると、川崎は確かに優勝の2シーズン共にアウェイ試合における勝率が高い(2020シーズン17試合11勝4分2敗、2021シーズン19試合12勝5分2敗)ことがわかる。
しかし、2019シーズン横浜FMはアウェイで6敗していながら王者になっている(17試合10勝1分6敗)。

鍵は連敗数か?
では連敗数に注目してみよう。前述の王者チームの連敗数と、2位チームの連敗数(上図)と比較すると、連敗数は鍵になるといえるのではないか。
2019シーズン、王者横浜FMは3連敗を1回喫している中、2位FC東京は2連敗1回に留まるも、引き分けを挟んでの敗戦を含めると3試合連続勝ち無しが加わる。2020シーズン、2021シーズンの王者川崎に至っては、連敗が無い。2位ガンバ大阪(2020)と横浜FM(2021)は、それぞれ2連敗1回の記録がある。
連敗が少ない。つまり負けたとしてもそれを引きずられず、切り替えられることができるチームでなくては「チャンピオン」にはなれないということである。

2022シーズン唯一連敗していない横浜FM
2022シーズン現時点において、連敗してないチームは1チームのみ。それは首位を走る横浜FMだ。このまま連敗をせずに首位をキープし続けることができるか。連敗しないチームが王者に相応しいセオリーを証明してくれるだろうか。
横浜FMの残り試合は5試合だ。10月1日(アウェイ)名古屋グランパス戦、10月8日(ホーム)ガンバ大阪戦、10月12日(ホーム)ジュビロ磐田戦、10月29日(ホーム)浦和レッズ戦、11月5日(アウェイ)ヴィッセル神戸戦である。

10月1日アウェイ名古屋戦に注目
今2022シーズンの横浜FMはホームゲームで無類の強さを誇る。J1でのホーム負けはなく、平均得点数2.1、平均失点数も0.4と盤石の戦いである。中3試合ホームで勝ち点3を確実に積むことができれば、優勝は間違いないものになる。
つまり、横浜FMにとって優勝に向けてのターニングポイントとなるのは、10月1日のアウェイ名古屋グランパス戦だ。試合は中盤の激しい攻防が予想される。横浜FMは喜田拓也と藤田譲瑠チマ。名古屋は稲垣洋と永木亮太。この両者たちがぶつかりあう中盤となる。ここでのボール支配が勝敗を分ける鍵となるだろう。
横浜FMが注意しなくてはいけない点は、失点しないことだ。今シーズンはJ1でのアウェイ平均失点数が1.6と多い。
5位までがまだ王者の可能性あり
連敗が鍵であること、唯一連敗無しの首位を走る横浜FMに注目したが、あくまでも数字上のデータでの話は必ず当てはまるものではない。それがサッカーの楽しさの1つでもある。
横浜FM、2位の川崎、3位のサンフレッチェ広島、4位のセレッソ大阪、5位の鹿島アントラーズまで、まだ2022シーズンJ1優勝の可能性は残されている。みんなで「チャンピオン」になるチームのサッカーを楽しもうではないか。