2月17日、18日に、2023シーズン明治安田生命J1リーグ開幕節の全9試合が開催された。
各クラブでは、早速多くの新戦力となった選手が出場機会を掴んでいる。

小泉慶(FC東京)
1人目は、サガン鳥栖からFC東京に加わったMF小泉慶。浦和レッズとの開幕戦で[4-1-2-3]のインサイドハーフでスタメン出場すると、期待されたボール奪取能力を発揮しフル出場。浦和のハイプレスに対抗してパスワークを寸断し、試合のリズムを渡さない。最終的には13.2kmもの圧倒的な運動量、3回のタックルと3回のブロックを記録した。隣でプレーするMF松木玖生も気迫溢れるプレーをみせており、このコンビの強度には多くのクラブが苦しめられることだろう。

キャスパー・ユンカー(名古屋グランパス)
2人目は、浦和レッズからの期限付き移籍で名古屋グランパスに加入したFWキャスパー・ユンカー。昨季リーグ2番目に少ない30得点に留まった得点力に欠ける名古屋に、1月5日に加わったラストピースであり、横浜FCとの開幕戦ですぐさま力を発揮した。
3トップの中央でスタメン出場したユンカーは、前半4分コーナーキックに左足を伸ばし、先制点にして今季チーム初得点を奪取。さらに、17分にも裏への飛び出しからネットを揺らす。これはVARチェックの末にオフサイドとなったが、ゴール前の嗅覚でも裏への飛び出しでも決定機につなげられることを公式戦で示した。浦和での2シーズンは怪我が多く2桁得点に到達していないが、コンディションさえ万全ならばコンスタントに得点を重ねられる実力の持ち主だ。

知念慶(鹿島アントラーズ)
3人目は、川崎フロンターレから鹿島アントラーズへと移籍したFW知念慶。昨夏にFW上田綺世がチームを去って以降、鹿島はFW鈴木優磨の相方探しに苦しんだ。鈴木自身も相方が変わったことで役割分担があやふやになり、結果として夏以降は1得点のみしか挙げられず。
得点数こそ昨季の7得点が最高だが、出場時間あたりの得点数は多く万能型ストライカーのため、鈴木の負担軽減も期待できる。開幕戦では[4-1-2-3]の左ウイングで出場すると、前半34分に鈴木のパスを受けて2点目を奪取。38分にも決定的なシュートを放つ一方で守備への貢献度も高く、王座奪還を狙う鹿島で真のブレイクを果たすかもしれない。

ジョルディ・クルークス(セレッソ大阪)
4人目は、アビスパ福岡からセレッソ大阪へと加わったMFジョルディ・クルークス。Jリーグ全体を見渡しても屈指の左足を持ち、試合の行方を一蹴りでひっくり返せる能力の持ち主だ。ただし[4-4-2]の右サイドで、サイドに張った状態でしか輝けないという課題も抱えるが、C大阪を率いる小菊昭雄監督はその解消方法を熟知していた。
同監督は右サイドバックのDF毎熊晟矢を内側のレーンでプレーさせることで、クルークスのスペースを確保。その甲斐あって前半28分には早速、ピンポイントクロスでMF為田大貴の同点ゴールをアシストしてみせたクルークス。他にも攻撃陣には、FWレオ・セアラ、FW加藤陸次樹、そしてMF香川真司など個性豊かなタレントが揃っており、サプライズを起こす予感が漂っている。

齊藤未月(ヴィッセル神戸)
5人目は、湘南ベルマーレからの期限付き移籍でヴィッセル神戸へ加入したMF齊藤未月。アビスパ福岡との開幕戦では怪我人が多く、ベストとはいえない布陣で挑んだ湘南だが、後半に主導権を握ると途中出場のFWジェアン・パトリッキの得点で1-0の勝利。スタメン出場で攻撃陣を引っ張ったFW大迫勇也を含めた攻撃陣が目立ったが、[4-1-2-3]の1アンカーに入った齊藤の存在も大きかった。
齊藤は技術の高さに加えてポジショニングの妙で福岡に自由を与えず。

紺野和也(アビスパ福岡)
6人目は、FC東京から完全移籍でアビスパ福岡に加わったMF紺野和也。ヴィッセル神戸との開幕戦こそ敗れたものの、FWリオネル・メッシ(パリ・サンジェルマン)にも例えられたレフティー紺野は、右サイドから多くのチャンスを生み出し、今後の数多くの得点への関与を期待させた。相手を外すドリブルで時間を作り、そこからのパスやクロスで最も得点の匂いを感じさせた選手だった。
FC東京時代には出場機会が限られていた紺野だが、福岡では主軸となる可能性が高く、先述のジョルディ・クルークスが抜けた穴を補って余りある活躍を見せるかもしれない。

小野瀬康介(湘南ベルマーレ)
7人目は、昨季ガンバ大阪で26試合に出場していたものの予想外の契約満了となったMF小野瀬康介。近年巧みな補強を続けている湘南ベルマーレが獲得すると、サガン鳥栖との開幕戦で早速スタメンフル出場。新加入ながら、序盤から周囲との関係も円滑で攻守に絡んでいく。
後半19分にはダメ押しとなる5点目を決めるなど、小野瀬は1得点1アシストで、チームの5-1の大勝に貢献した。走行距離も13.2kmを記録しており、得点には絡めない試合でも重要な存在となることだろう。