2023シーズンも、およそ半分のスケジュールが終了した明治安田生命J1リーグ。後半戦に向け、優勝争いや残留争いがより激しくなっていくことが予想される中、この時期大きな注目を集めるのが移籍に関する話題だ。
特に、能力が高いにもかかわらずチーム内の熾烈な序列争いの結果からか、出場機会が思うように得られていない選手たちは、レンタルも含め移籍という選択肢が頭をよぎるはずだ。ここでは、その能力に対してリーグ戦での出場機会が少なく、今夏レンタル移籍の可能性も十分あり得る選手たちを4名紹介していく。

荒木遼太郎(鹿島アントラーズ)
2020シーズンJ屈指の名門鹿島アントラーズへ入団し、翌2021シーズンには驚異的な前線でのプレースキルを見せつけたMF荒木遼太郎。昨2022シーズンは背番号「10」を背負い中心選手としての活躍が期待されたものの、負傷の影響もあり出場機会が減少。今2023シーズンもここまでリーグ戦の出場は5試合のみ。鹿島の分厚い選手層の中、苦しい序盤戦を過ごした。
パリ五輪世代でもあり、2021シーズンの荒木のプレーを目にした誰もが五輪の舞台で中心選手として活躍する姿を期待したことだろうが、現在は世代別代表活動からも遠ざかっている。しかし持っている前線での動きの質や決定力の高さは折り紙付きで、出場機会さえ確保できれば活躍は十分に計算できる選手。鹿島においては今すぐに序列に変化が加わる可能性は低いため、出場機会を求めてのレンタル移籍は選択肢の1つとなるのではないだろうか。

西尾隆矢(セレッソ大阪)
2021シーズンには、今や日本代表に名を連ねるDF瀬古歩夢と共にセレッソ大阪のDFラインを支えたDF西尾隆矢。安定した働きで注目を集めたが、昨2022シーズン後半ころからポジション争いが激化しサブにまわる試合も増えた。2023シーズンは完全に序列が入れ替わり、加えてDFマテイ・ヨニッチが怪我で起用できない状態であってもDF進藤亮佑が起用されており、実質4番手となっている。
過去A代表にも選ばれている西尾は、能力の高さに疑いの余地はない。
とはいえ、C大阪からすれば下部組織から育て上げた次代を担う守備の要。起用が少ないながら外に出す可能性はあるのか。今夏の動向に注目のセンターバック筆頭だ。

鈴木彩艶(浦和レッズ)
U-22日本代表、いわゆるパリ五輪世代の正GK筆頭候補であり、恵まれた体格と確かな技術を持つ浦和レッズのGK鈴木彩艶。しかし同じチームに元日本代表のGK西川周作がいることもあってか、必ずしも出場機会は満足できるものではない。世代別代表では強豪国を相手に好セーブを披露し、いずれのJ1クラブ正GKと比較しても遜色ないが、未だ西川の高い壁は越えられずにいる。
特に今2023シーズンは開幕から西川が好調。セービング技術はもちろん高いキック精度も一層凄みを増し、リーグ戦でもACLでも安定したパフォーマンスが続いている。GKというポジションの特性上からも鈴木がスタメンの座を奪うことは困難と言えよう。
GKも実力者がそろうパリ五輪世代の限られた椅子を守るためにも、出場機会の創出とさらなるレベルアップは不可欠だ。

中島大嘉(北海道コンサドーレ札幌)
圧倒的な身体能力を誇る北海道コンサドーレ札幌のFW中島大嘉は、プレミアリーグ王者マンチェスター・シティで猛威を振るうFWアーリング・ハーランドに準えて「和製ハーランド」と呼ばれるほど。入団3年目となる今2023シーズンこそエースとしての活躍が期待されたが、ここまでリーグ戦のスタメン出場は無い。8試合で途中出場も、時間の短さもあってゴールという結果は出せていない。
そんな中、札幌の攻撃陣はここまで絶好調。中島以外にも、序盤戦で負傷したFWキム・ゴンヒやFWミラン・トゥチッチら長身FWがいるが、彼らを先発起用しない試合でもゴールを量産している。チーム状態からも、中島が出場機会を得るのは難しいであろうことは想像できる。
とはいえ、中島の188cmの巨体にして似つかわしくないスピードを欲しがるクラブが多いだろうこともまた想像に難くない。J2リーグに目を向ければ、今季は同世代のFW櫻川ソロモン(ファジアーノ岡山)やFW寺沼星文(水戸ホーリーホック)ら同じく身体能力を大きな武器とするFW勢が活躍。中島がレンタルでいずれかのJ2クラブへ行っても、同様の活躍とさらなる成長を十分に計算できると言えよう。