2023FIFA女子ワールドカップ(W杯)オーストラリア&ニュージランド大会(7月20日~8月20日)は、8月8日のコロンビア対ジャマイカ(1-0)、フランス対モロッコ(4-0)の終了と共に、ベスト8の顔ぶれが揃った。今大会には、女子W杯史上最多となる32カ国が参加。

グループステージでの戦い振りは、FIFAランキングを払拭する非常に興味深い内容となった。

歴史を覆すような「W杯マジック」も頻発する状況を潜り抜けたのは、スペイン(FIFAランキング6位)、オランダ(9位)、日本(11位)、スウェーデン(3位)、イングランド(4位)、コロンビア(25位)、オーストラリア(10位)、フランス(5位)の8カ国だ。ベスト8のステージは、たとえ上位国であっても緻密な戦略とパフォーマンス、そして「運」が必要とされる戦いになるだろう。

この記事では、12年振りのW杯優勝を狙うなでしこジャパンこと日本代表と、初のベスト8入りを果たしたコロンビアに注目し、今後の試合のキーパーソンとなるであろう選手を独自の視点から紹介していこう。

【女子W杯】ベスト8注目選手、なでしこMF遠藤純&コロンビアFWカイセド

なでしこジャパンのピンクヘア・パフォーマーMF遠藤純

日本は今W杯グループステージ全3試合で、ザンビア戦(5-0)コスタリカ戦(2-0)スペイン戦(4対0)と、クリーンシート(無失点)を達成しつつノックアウトステージへと駆け上がった。ベスト16のノルウェー戦(3-1)では今大会初の1失点となったが、勝利を挙げている。

次戦となる準々決勝(8月11日)の相手国は、高さもあり強固な守備のスウェーデンだ。主要ストライカーを囲み、まるで鳥かご状態にさせるディフェンス。持ち前の高さを活かしたコーナーキックからのゴール前のセットプレー。そしてGKゼチラ・ムショビッチ(チェルシー・ウィメンズ)の高いセービング力など、日本にとって気をつけたいポイントは多い。

そんなスウェーデン戦にて、なでしこのキーパーソンになると予想されるのが、MF遠藤純(エンジェル・シティ)である。そのスピードと、独特のリズムカルなドリブルそしてボールカット技術に注目だ。持ち前のしなやかさで、するりと相手の足元からボールを奪う。

グループステージの試合でも、遠藤の一瞬のチャンスを逃さない鋭さから、結果得点のチャンスへと繋がった場面はかなり多く見られた。スウェーデンの分厚い壁を突破し得点へと繋げるには、相手までも魅了してしまう遠藤の独自のリズムでボールを奪う技がきっかけとなるかもしれない。

【女子W杯】ベスト8注目選手、なでしこMF遠藤純&コロンビアFWカイセド

世界からも注目、コロンビアの若きエースFWカイセド

コロンビアは今W杯で、史上初のベスト8入りとなり記録を更新した。1991年から開催されている女子W杯だが、過去には予選敗退などが続いており、これまでの最高成績は2015年カナダ大会のベスト16だった。

グループステージ初戦でコロンビアは韓国に2-0で勝利。そして歴史的瞬間としては、2戦目で強豪ドイツ相手に2-1で勝利を果たした。3戦目のモロッコ戦は0-1で敗退するが、勝点6ポイントで結果的にグループHを首位で通過。見事ノックアウトステージへと上り詰めた。

そして8月8日に行われたベスト16のジャマイカ戦。試合後半にコロンビアのキャプテンFWカタリーナ・ウスメが見事なシュートを決め、1-0で勝利。コロンビア史上初となるベスト8へと勝ち進んだ。

しかし次戦の準々決勝(8月12日)の相手は、2022年UEFA欧州女子選手権のチャンピオンでもあるイングランドだ。基本の攻撃守備の技術に加え、高さとスピードも有り、ほぼ全ての項目を選手メンバーがバランス良く保持している。

コロンビアからすると、真正面から勝負するというよりも、どれだけ相手を惑わせられるかがポイントとなりそうだ。

【女子W杯】ベスト8注目選手、なでしこMF遠藤純&コロンビアFWカイセド

そんなイングランド相手に活躍が期待されるコロンビアの選手は2名。スピードとパワフルさ、そして相手が不意を突いた瞬間にボールを奪うFWマイラ・ラミレス(レバンテ・フェメニーノ)と、現在18歳という若きエースFWリンダ・カイセド(レアル・マドリード・フェメニーノ)だ。

カイセドは正確なシュート能力と、スピード感のある安定したドリブルが魅力の選手。一見シンプルな持ち味だが、そのレベルの高さには目を見張るものがある。8日のジャマイカ戦でも、ボールを保持した状態で独自のステップを刻みながら、相手を惑わせ得点のチャンスをつくる場面が多く見受けられた。

ちなみにコロンビアはカード(ファウル)アピールのパフォーマンスも巧みであり、勝ち進むことを前提としたイングランドは、後の試合を考えて出来る限り要らぬカードを避けられるよう、冷静さを保つことも重要視してくるだろう。

【女子W杯】ベスト8注目選手、なでしこMF遠藤純&コロンビアFWカイセド

ベスト8の舞台にはPK戦のドラマ有り!?

女子W杯ベスト8の戦いは各国強者揃いということもあり、8月6日の王者アメリカの敗退劇(対スウェーデン0-0/PK4-5)に見られたような、引き分けの末にPK戦の場面も多くなることが予想される。各国ゴールキーパーの精神面での安定感や、その瞬間の運を味方につけられるかどうかも勝敗に関わることだろう。

11日からスタートするベスト8の戦い。なでしこジャパンがスウェーデン戦(日本時間16:30開始)で、もしもPK戦となったら、GK山下杏也加(INAC神戸レオネッサ)にエールを送ろう!

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