Jリーグ未経験で海外挑戦を果たす選手が増えている。高校サッカー界の名門である神村学園高等部から、U-17日本代表のMF吉永夢希が来年2月よりベルギー1部のKRCヘンクへ加入することが決まった。
ここでは、国内リーグ未経験で海外挑戦を果たし、現在J1リーグで活躍している選手3名を紹介していこう。

宮市亮(横浜F・マリノス)
2021年から横浜F・マリノスで活躍を続けているFW宮市亮。1992年生まれで、いわゆる「プラチナ世代」の1人でもある。中京大学附属中京高等学校在学中から、U-16やU-17の日本代表に選出されるなど注目を集めていたが、卒業後はイングランド1部プレミアリーグの名門アーセナルへ加入。就労ビザのトラブルに見舞われプレミアリーグでプレーできず、オランダ1部のフェイエノールトに期限付き移籍するとデビュー戦でプロ初ゴールを決めるなど躍動。その後、オランダのトゥウェンテやドイツのザンクトパウリなど欧州主要リーグのクラブに籍を置いてきた。
しかし、度重なる怪我の影響もあり、いずれのクラブでも際立った数字は残せず。2021年、横浜FMへの移籍で日本に戻り28歳でJリーグデビューを果たした宮市は、翌2022年7月に約10年ぶりとなるA代表復帰を果たすが、同27日に行われたE-1サッカー選手権の韓国戦で右膝前十字靭帯断裂という大怪我を負い戦線から離脱。加入2年目でようやく安定した出場機会を得始めた矢先の怪我で、約10ヵ月苦しむことになった。
今2023シーズン第15節のアビスパ福岡戦で復帰した宮市は、第17節の柏レイソル戦で途中出場し終了間際に劇的な逆転ゴールをマーク(4-3)。

伊藤翔(横浜FC)
中京大学附属中京高等学校の3年生だった2006年に、プレミアリーグの名門アーセナルのトライアルテストへ参加したFW伊藤翔は、名将で過去には名古屋グランパスで指揮を執ったこともあるアーセン・ベンゲル監督から「(元フランス代表の)ティエリ・アンリのようだ」と賞賛され名を知られることとなる。
卒業後はフランス2部のグルノーブルへ加入。当時、学生時代に注目された選手はJリーグクラブに加入するのが一般的だったため、国内でプロ経験を積まずに直接海外クラブと契約した初めてのケースとして世間を賑わせた。大きな期待を背負い渡仏した伊藤だったが、グルノーブルでのリーグ戦出場は4シーズンでわずか5試合。得点を挙げることもできず、成果を収められないまま伊藤の海外挑戦は終わりを迎えた。
2010年、日本へ戻った伊藤は清水エスパルス、横浜F・マリノス、鹿島アントラーズと国内を代表するクラブで活躍。昨2022シーズンはJ2だった横浜FCで6ゴールを挙げJ1昇格に貢献するなど、ベテランらしさが光る頼もしい姿を見せている。今2023シーズンは3年ぶりにJ1の舞台で戦っている伊藤だが、クラブは現在最下位と低迷しJ2降格の危機に瀕している。横浜FCといえば、これまで大きな得点源であったFW小川航基が今夏オランダ1部のNECナイメヘンへ移籍。J1残留に向け、今まで国内外のクラブで経験を積んできた伊藤に懸かる期待はより一層大きなものとなるだろう。

木下康介(京都サンガ)
今季より京都サンガでプレーしているFW木下康介も、Jリーグ未経験で海外挑戦を果たした選手の1人だ。横浜FCのユースからブンデスリーガ(ドイツ1部)のフライブルクとプロ契約を交わし海外へ渡ったが怪我に悩まされ数年を過ごし、その後スウェーデン1部のハルムスタッズBKや近年多くの日本人選手が活躍するベルギー1部のシント=トロイデンなど4ヵ国で約9年間プレーした。
2021年に帰国した木下は、浦和レッズ、水戸ホーリーホックに1シーズンずつ所属した後、京都に移籍。190cmの長身と持ち前のテクニックを駆使して活躍している。水戸に所属していた昨2022シーズンは38試合12ゴールと主力を務めた木下。今季は新加入ながらすでにチームに順応し、2試合連続ゴールを含む3ゴールをマークしている。9月以降はスタメン出場から遠ざかっているが、ひとたびピッチに現れれば、しなやか且つ逞しいプレーで観客を魅了する。
現在15位で昨季に引き続き残留争いに巻き込まれている京都。あと1勝で残留が決まるものの、12年ぶりにJ1復帰を果たした2022シーズン以降厳しい戦いが続いていると言えよう。前線はFW豊川雄太や夏に加入したFW原大智とタレント揃いだが、経験値も含めて木下が頼りになる存在であることは明白。今季の残留と来季の飛躍に向けて、円熟味を増している29歳から目が離せない。