なでしこジャパンことサッカー日本女子代表は、日本時間12月1日、3日に国際親善試合でブラジル女子代表と現地ブラジルで対戦。1戦目は3-4で敗れ、2戦目は2-0で勝利した。
宮澤は、2023年夏に開催されたFIFA女子ワールドカップ(W杯)オーストラリア&ニュージランド大会で5得点挙げ、ゴールデンブーツ賞(得点王)を受賞。2011年女子W杯優勝時の元日本女子代表MF澤穂希(2015年引退)以来の快挙を遂げた。9月6日にイングランドの強豪マンチェスター・ユナイテッド・ウィメンへ自身初の海外移籍を果たし、11月26日に行われたブリストル・シティ・ウィメンズ戦(2-0)で、移籍後初のゴールを決めて欧州でも活躍を続けている。
W杯で輝いた宮澤は一体どんな点が突出しているのだろうか。

1)巧みなアシスト
宮澤の特筆すべき突出点の1つは、得点に繋がりやすいクオリティの高いアシストだ。敵陣のわずかな隙を見つけられる視野の広さも素晴らしく、その隙へボールを送る際のパスの角度の正確さや力加減が絶妙である。ボールを受け取った側がシュートに繋がる位置にアシストを送る。
ブラジル女子代表との1戦目では、前半37分に左サイドバックのMF遠藤純(エンジェル・シティ)から縦パスで左トップの宮澤へボールが入った。宮澤はボールを所持したまま左サイド奥へと敵陣を充分に寄せ、ゴール前がわずかに空いたタイミングで中央で待ち構えていたFW植木理子(ウェストハム・ユナイテッド)とMF長谷川唯(マンチェスター・シティ)の方へと素早くパス。ボールを受けた長谷川は背後に構えていたFW藤野あおば(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)へクロスし、最終的に藤野のゴールで先制点を獲得している。
宮澤が敵陣を寄せてゴール前に空間をつくりつつ、そこへ正確にボールを送り込んだことが得点に繋がった見事なアシストだった。

2)一定の冷静さ
世界的にも頭脳プレーや冷静さについて高く評価をされている日本人選手の中でも、特に宮澤は冷静さが武器と言えるだろう。ブラジル女子代表との1戦目では、随所でそれを感じる動きが見られた。
たとえば前半3分。左サイドの宮澤にボールが流れてくるがすぐに攻めることはせず、一旦後方のDF古賀塔子(JFAアカデミー福島)へとボールを戻し、全体の体制を立て直した。また仲間の次の動きを冷静に予測し、自身の得点チャンスを探る姿も多く見てとれた。
前半25分頃、ゴール右サイドで植木がボールを持った時は、すかさず左サイドの宮澤がゴール前中央へと移動しクロスを予測。同様に右サイドバックのDF清水梨紗(ウェストハム・ユナイテッド)がボールを持ちゴール横まで上がってきた時にも、宮澤は冷静に中へと入り込みゴール前の位置を確保した。
常に相手の動きを冷静に先読みしている宮澤。ゴールチャンスを掴みやすく、今夏のW杯での得点王にも頷ける動きと言える。

3)高いスプリント能力
海外サッカークラブからも注目を浴びているのが、宮澤の類まれなスプリント(時速24キロメートル以上で走る)能力だ。ワールドクラスの足の早さは、今夏のW杯で一躍有名になったポイントの1つとも言えるだろう。本人もこれまで数々のメディアに向けて、得意とするのは「早さを活かしたプレー」とコメントしている。
ブラジル女子代表との1戦目でも、様々な場面で宮澤の抜群のスプリント力を垣間見ることができた。後半49分頃、左サイドバック遠藤が相手から奪ったボールを宮澤へとパス。同時に宮澤をマークしていた相手DFブルニーニャが背後から徐々に距離を縮めてくるが、宮澤はあえてブルニーニャを自分の元へ寄せてから、ボールを斜め後ろへと蹴り出した。
最終的にボールは流れてしまい得点には繋がらなかったが、宮澤のスプリント力の高さを改めて感じるシーンであった。

持ち前のスキルが活きるも「勝利に貢献したい」
ブラジルとの国際親善試合では、前述の通り特に12月1日の1戦目にて、宮澤のキラリと光るプレーが活きていた。しかしながら、結果としては3-4で勝利を逃してしまったこともあり、宮澤は試合後インタビューで「より積極的にゴールに向かうことが必要であること、そして前線の選手としてチームの勝利に貢献したい」とコメントしている。
3日の2戦目は2-0で日本が勝利をするも、後半58分に途中出場した宮澤は得意のスピードで相手からボールを奪いに行った際に右足首を強打し、わずか4分後にピッチから途中退出している。2戦目は自身のプレーを充分に発揮できず悔やまれる点となったが、この負傷が今後のプレーに大きく影響しないことを願い、引き続き宮澤のアシスト、冷静さ、スプリント力が各試合で活かされ勝利に繋がることを大いに期待している。