強豪同士の対決は、どんな劇薬にもなり得る。時にビッグマッチでのパフォーマンスは、選手の評価を一晩にして大きく変えてしまうもの。
この記事では、日本時間12月7日5時15分にオールド・トラフォード(マンチェスター・ユナイテッドのホーム)で行われる、プレミアリーグ2023/24シーズン第15節マンチェスター・ユナイテッド(現7位)対チェルシー(現10位)についての見どころを紹介していく。

ユナイテッドとチェルシーの現在地
2023/24シーズン、なかなか思うような結果を出すことのできていないユナイテッドとチェルシー。両者ともに夏の移籍市場で使った金額を踏まえれば、現状に物足りなさを感じることが本音だろう。プレミアリーグ現時点首位のアーセナルまでの勝ち点差は、7位のユナイテッドが12ポイント。10位チェルシーが17ポイントとなっており、今後の優勝争いに食い込むためは必ず3ポイントを掴み取りたい。
ユナイテッドでは、今季から加入した新戦力がなかなか思うような活躍ができずいる。長年の守護神GKダビド・デ・ヘアに代わり、ビルドアップに革命を起こすと思われたGKアンドレ・オナナも相次ぐミスプレーにより批判を受けており、肝心のビルドアップもいまだ改善の兆しが薄い。
MFメイソン・マウントにいたっては、今季は怪我に苦しむ期間が長くスタメン出場はわずか4試合。なかなか輝きを見せることはできておらず、古巣であるチェルシー戦にも出場できるかどうか未だ不透明である。
また、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)では得点を量産しているFWラスムス・ホイルンドも、プレミアではストライカーの役目を果たせておらず、チェルシー戦でゴールをあげて自身の価値を証明したいところだ。
一方で今季のチェルシーは、マウリシオ・ポチェッティーノ新監督のもとチームの大刷新を敢行。
彼らの代わりには、MFモイセス・カイセドやMFコール・パーマーといった25歳以下の若手を中心に補強したチェルシー。シーズン序盤こそ歯車が上手く嚙み合っていないような印象を受けたが、ここ最近は徐々にギアを上げており、第11節のトッテナム・ホットスパー戦では4-1の勝利、第12節のマンチェスター・シティ戦では4-4の大熱戦を繰り広げた。

第15節の注目ポイント
第15節では、まずユナイテッドのMFコビー・メイヌーがどれほどのインパクトを残せるかどうかに注目である。メイヌーは第13節のエバートン戦(3-0)にて初スタメン出場を果たすと、続く第14節のニューカッスル・ユナイテッド戦(0-1)でもスタメンに抜擢。中盤の底でボールを引き出し前線にボールを運ぶプレーによって、ビルドアップにおける潤滑油として機能した。
これにはユナイテッドのOBであるロイ・キーン氏やガリー・ネビル氏たちも『Sky Sports』で称賛。中盤における新たなスターが思わぬ形で登場する形になった。しかし同時に、わずか2試合のスタメン出場だけで18歳の青年を手放しで称賛することも時期尚早ではあり、おそらくこのチェルシー戦でのパフォーマンスが彼への評価を確実なものにするための絶好の機会となるだろう。青年が大舞台でどう自身のポテンシャルを発揮し、ユナイテッドをさらに上のレベルにまで引き上げることができるだろうか。
チェルシーに関しては、第14節ブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン戦(3-2)でMFコナー・ギャラガーが退場処分を受けてしまったため第15節は出場停止になる。ここまでプレミアリーグ全試合でスタメン出場をしているギャラガーの代わりに誰が出場するのかという点に注目だが、あれほどのインテンシティでプレーができる選手はそう多くはない。
また、おそらくMFエンソ・フェルナンデスとカイセドが中盤の2枚としてスタメン出場がほぼ確実であることを考えると、前節と同様に[4-2-3-1]のシステムで戦うのかどうかという点には疑問が生まれる。

前回対戦とは異なる様相
ユナイテッドとチェルシーの対戦は通算193回、そのうち82試合でユナイテッドが勝利している。また前回の対戦(プレミアリーグ2022/23第32節、5月26日)ではユナイテッドがチェルシーに4-1で勝利を飾った。
しかし、今第15節で対戦する両チームの様相は、前回対戦時とはまるで違うものだ。まずはCL圏内(4位以内)に入り込むための1歩目として、お互いを格好の餌食と考えていることは間違いなく、この試合がチームと選手たちにとってのあらゆる分岐点になるだろう。
プレミアリーグという荒野で生き残るために、象徴的なプレーが生まれることを期待する。