プレーオフも含め全日程が終了した2023明治安田生命J2リーグ。優勝した町田ゼルビアと2位ジュビロ磐田に続き、プレーオフでは東京ヴェルディがJ1昇格を決めている。

ジェフユナイテッド市原・千葉は、直近6シーズン昇格争いから遠ざかっていたものの、今2023シーズンはプレーオフに進出。残念ながら準決勝で東京Vに敗れたものの、シーズン終盤に7連勝と驚異的な強さを見せた。長年J2で苦しむ名門を支えるファンやサポーターからしても、来季こそは昇格をとの思いが一層強くなったシーズンだったと言えよう。

来季に向け、ここから注目されるのが選手たちの去就やさらなる補強についてだ。近年、プレーオフに進出し敗れたクラブからは、主力選手がJ1クラブへ個人昇格する傾向が多く見られる。もちろん、すべての選手が重要な戦力であることに変わりはないが、今季中核を担い活躍した選手がチームを離れては、チームをまた新たに作り直さなければならなくなる。

ここでは、なかでも特に手放せない選手たちを5名ランキング形式で紹介していく。なお、期限付き移籍中の選手については対象外とする。

ジェフユナイテッド市原・千葉が来季こそ昇格するために手放せない選手トップ5

5位:鈴木大輔

今季キャプテンとして40試合とほぼ全ての試合に出場したDF鈴木大輔。出場時間もチーム内で2番目に長く、苦しんだ序盤戦や躍進した終盤戦そのいずれでも最後方からチームを支えた。ベテランらしさと、持ち前の身体能力の高さで躍動。守備はもちろん攻撃でもセットプレーやその流れの中から前線でチャンスに絡み、シーズン自己最多となる4ゴールをマークした。チームの精神的な支柱であると同時に、目に見える数字でもチームを牽引した存在であることは間違いない。

同じくベテランで、今季途中加入ながらも7ゴールを挙げて終盤戦に上位猛追の立役者となったFWドゥドゥや、精度の高いミドルシュートで多くの見せ場を作ったMF風間宏矢らも、もちろん失いたくない戦力だ。しかし、それを踏まえても来季再び昇格に挑むチームにおいては、今季長い時間ピッチに立ったベテランを手放すわけにはいかない。今季果たした役割とセットプレー時に大きな存在感を示したことから、手放せない選手5位とした。

ジェフユナイテッド市原・千葉が来季こそ昇格するために手放せない選手トップ5

4位:日高大

昨2022シーズンは、当時J3のいわきFCでJ2昇格にも貢献したMF日高大。今季は新加入かつ初のJ2挑戦にも関わらず、37試合と多くの出場機会を得て千葉の躍進を支えた。アイデアとスピード感に溢れた前線選手たちとの絡みや、精度の高いフリーキックを武器に4ゴール3アシストをマーク。数字はもちろん、相手の虚をつくフリーキックや強烈なボレーシュート、独走でのカウンターシーンと派手で印象深いプレーが多いことも特徴の1つと言えよう。

今季も左サイドバックが主戦場となったが、サイドだけでなく内側に入ってのプレーも多く攻撃面での貢献度は計り知れない。持ち味のスピードやアイデアが存分に活かされていたことと、日本フットボールリーグ(JFL)からJ3、そしてJ2と1年ごとに着実にステップアップを果たした勢いも考慮して、手放せない選手4位とした。

ジェフユナイテッド市原・千葉が来季こそ昇格するために手放せない選手トップ5

3位:田口泰士

千葉に移籍して4シーズン目を迎えたMF田口泰士。加入当初からチームにとって欠かせない選手の1人だったが、今季は特に能力と存在の大きさが如実に表れていたと言えよう。守備では素早いチェックで攻撃の芽を摘み、攻撃では時折ワンタッチを織り交ぜた長短のパスでリズムを作った。もちろん、その正確なキックはパスに限らず、ミドルシュートやセットプレーでも発揮され数多くのチャンスを創出。今季マークしたアシスト数6は当然と言うべきチームトップの数字であり、攻守の核として来季もチームの浮沈を左右する選手の1人であることは間違いない。

ベテランと呼ばれる年齢となった32歳の田口。しかし、年齢が故の洗練されたプレーの数々を見れば、同じJ2カテゴリーのクラブを中心に獲得を狙われていても不思議はない。高い危機察知能力とチャンスメイクに長けた能力に衰えは見られず、来季もチームの中核を担う選手として位置づけられることから、手放せない選手3位とした。

ジェフユナイテッド市原・千葉が来季こそ昇格するために手放せない選手トップ5

2位:見木友哉

2位には、今季チーム最長の出場時間を誇った背番号「10」のMF見木友哉を挙げたい。積極的に攻撃へ絡み、敵DF陣の隙間を逃さない視野を活かした優しさあふれるラストパスやクロスを数多く供給。受け手としても出し手としても、リーグ屈指の存在感を発揮したと言えよう。また、味方を活かすだけでなく自身でも強烈なミドルシュートを披露するなど、エリア付近でボールを持てばパスを出すのかシュートを打つのか、相手DFを惑わす存在であったことは間違いない。

展開力やミドルシュートでは、チーム内においてもMF田口やMF風間らも見せ場を作っている。しかし、7ゴール3アシストと彼ら以上に多くのゴールに関わった実績は評価されて然るべきものだ。ゴール付近での質の高いプレーの数々とチーム内における比較から、手放せない選手2位とした。

ジェフユナイテッド市原・千葉が来季こそ昇格するために手放せない選手トップ5

1位:小森飛絢

本来、ゴールにアシスト、展開力や守備面での貢献度を総合的に考慮すれば、MF見木やMF田口を1位に挙げるのが相応しいだろう。しかし、大卒ルーキーながらチームトップの13ゴールを挙げたFW小森飛絢が今季の千葉で放った輝きは、決して無視できるものではない。昨年は特別指定選手だったこともあり、わずか2試合の出場にとどまったが、今季は33試合に出場。

開幕から3戦連続でゴールを挙げるなど、超新星として一気に名を上げ終わってみればJ2リーグにおける日本人トップタイのゴール数をマークした。

正確なシュートもさることながら、次の動作を意識した的確なボールコントロールで相手守備陣を剥がす技術を存分に披露していた。今季の活躍と大卒ルーキーという年齢も相まって、早くも争奪戦が繰り広げられる可能性もある小森。一方、千葉にとっても来季再び2桁以上のゴールを大いに期待できる重要な稼ぎ頭であることに疑いの余地はない。早々にエースとして名を上げた存在感と、巧みなボールタッチとシュート技術のさらなる進化を期待して、手放せない選手1位とした。

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