U23日本代表の一員である佐藤は、Jクラブ下部組織でのプレー経験がゼロ。それでも明治大学サッカー部で頭角を現すと、昨年7月に同大学サッカー部を退部してブレーメンに加入。海外移籍1年目の2023/24シーズンは、セカンドチームの一員としてブレーメンリーガ(ドイツ5部相当)で12試合に出場して4ゴール1アシストをマークしている。また、昨年12月から今年1月にかけてトップチームに帯同。ブンデスリーガ3試合ベンチ入りも出番はなく、2月以降は再びセカンドチームでプレーしている。
数少ない欧州組のひとりとして、パリ五輪予選での活躍も期待されるだけに、北京五輪の日本代表メンバーである大久保氏も佐藤のポテンシャルやメンタリティーを評価している。
同氏はインターネット動画配信サービス『DAZN』で今月15日配信開始の「やべっちスタジアム」に出演した際、佐藤のドリブル突破や守備の局面における球際の強さを称賛。「大学からJリーグを経由せず、直接ドイツのクラブへ行くなど、ギラギラした部分に好感を持てる」と、佐藤の海外移籍に前向きなコメントを残した。
Jクラブを経由せずに海外クラブへ加入する選手は、直近数年間で増加傾向に。パリ五輪世代では、佐藤の他にFW福田師王が神村学園高等部からボルシアMGへ移籍。DFチェイス・アンリは尚志高校時代にJクラブからのオファーを断り、VfBシュツットガルトへ加入している。
こうした有望株の海外志向は『DAZN』のレギュラー番組「内田篤人のフットボール・タイム」でも度々話題に。
「賛否ありますよね。難しいんですよ。どんどん海外に行って活躍すればいいけど、Jリーグ等でプロの生活に慣れる前に行くというのは、ちょっと“賭け”みたいなところもあるなと」
「(かつて中京大学附属中京高校からアーセナルへ加入した)宮市亮が言っていたけど、(海外で)生活するというのが、サッカー以外でどれだけ大変なのか。その辺りは個人にもよると思うんですけどね。松井大輔みたいなメンタルががっしりしている人、海外志向な人は良いかもしれない。けど高校生だと両親のもとから離れたり、寮から出て生活をする。車の免許のこともあるので、ぶっちゃけ行ってみないと分からない部分もある」
「(ドイツのセカンドチームからトップチーム昇格を目指すことについては、)タフになれる環境があるので、若い選手にとっては良いと思う。ただ難しい。みんなそんなヤツばかりだから。チームの中で自分の能力を出してくれるか言えば、そうではない。『お互いに頑張って試合で勝利しよう』ではなくて、個人昇格だから。
内田氏が指摘するように、Jリーグを経由せず海外移籍して失敗した選手がいることは事実だ。A代表に食い込むだけの能力を兼ね備えている佐藤だが、ブレーメンのトップチームでチャンスを得ることができるか、真価が問われている。