千葉は33分にGK藤田和輝のパスミスから失点すると、後半70分にヘディングを決められ逆転を許す。追いつきたい千葉は直後にFW新明龍太とFW林誠道を投入しゴール前に人数をかけるが、その後も栃木の堅守を崩すことができず2-1で黒星を喫した。
リーグ戦で2試合連続途中出場の新明は、20歳ながら早くもチーム内競争に身を置いている。栃木戦では2-1とリードされた状況で投入され、惜しいチャンスもあったルーキーは、さらなる成長の必要性を感じているようだ。リーグ後半戦に向け、アピールに燃える新明に訊いた。

チャンスが巡ってきている
「途中出場という形ですが試合には絡めているなかで、そろそろ点を決めなければいけません。栃木戦で監督(小林慶行監督)から交代を告げられたときには、まだ2点目を決められていなかったのですが、自分がユニフォームを着ている最中に失点してしまいました」と振り返る新明に、その時の気持ちを尋ねると頼もしい答えが返ってきた。「ここで決めればヒーローになれるなって思いました。常に気持ちは高いところにありますが、失点によってさらに燃え上がったことも事実。残念ながら得点をすることはできませんでしたが、もし次にそのようなチャンスがあればチームに勢いをつけられる存在になりたいです」と気合は十分だ。
昨2023シーズンは8試合に出場し1ゴールを決めたが、今シーズンは思うようなスタートを切れていない新明。「去年は開幕戦からメンバーに絡めていましたが、今年はそれが遅くなりました。チーム内に競争があることは確かですが、自分自身がもっとやっていかないとダメだと感じています。チームとして大事にしている『走る』『闘う』の部分におけるベースをもっと上げることで得点にも絡めるようになると思いますし、ゴール前の質や推進力といった特徴をどう活かしていくか考える必要があります」と自信が直面する越えなければいけない壁について語った。
「どうしても試合勘という部分は大事になってくるなかでチャンスが巡ってきています。監督には練習からアピールをしていますが、途中出場という形でもチャンスを貰えるのならば、得点という結果を試合で残したいです」

「やってやる」というメンタルを大事に
強調される「得点」という言葉通り、この日の新明は居残りシュート練習に励んでいた。ハードなチーム練習後にも関わらず、多様なシュートパターンでゴールを狙う新明と共に汗を流していたのは、現在10ゴールを挙げているFW小森飛絢(23)だ。「飛絢くんは年上ですけど同期なんで(両者2023シーズンからトップチーム加入)先輩ではないっす」と笑う新明だが「ゴール前の質は飛絢くんからもっと学ばなければいけません。今日みたいに一緒に練習するなかで、もっと色々なところを吸収していきたいです」と、今やリーグを代表するスコアラーである小森から学ぶことも多いようだ。「小森選手を先輩だと思っていないんですか?」とあえて再確認すると「年齢関係なく仲良くしてもらっています(笑)」と付け加えた笑顔から、両者の良好な関係性が窺える。
しかし当然ながら、先輩であり同期でもある小森に負けたくないという想いもあるだろう。ここからの後半戦で得点し、スタメン入りに向け存在感を示すために何が必要だと思うか問うと「経験も大事ですが、一番はメンタルです」と言い切った。
「現状では途中出場が多いなかで、試合状況を読みチームのためにプレーできる存在になる必要があります。

チャンスを結果に繋げるプレーに期待
次節、鹿児島との試合について「前半戦で負けているので勝たないといけないですし、メンバーに絡むことができれば得点を決めたいです。そのために、まずは練習からアピールの部分を頑張りたい」と意気込んだ。ここから夏に向けて気温も上昇するが、チームの懸念事項は前線のプレッシング強度だ。酷暑はメンバー交代にも影響を及ぼすものであり、ハードな試合が続くなかで選手たちには変わらぬクオリティが求められる。現状ではスタメンに絡めていない新明のような選手たちの出番が増えることは想像に難くない。与えられたチャンスを掴み、千葉の攻撃陣に一層の競争をもたらすことを期待したい。