その結果から世間の興味深い声が明らかとなった。この記事では、4つのアンケート結果を紹介しながら、そこから浮かび上がるなでしこジャパンへの期待値やレベルアップに欠かせない要素などを見ていこう。

スペイン戦は楽勝?
パリ五輪に招集されたなでしこジャパンのメンバーはバックアップを含め全22名。そのうち18名が昨夏に開催された『FIFAワールドカップ(W杯)オーストラリア&ニュージランド大会』を経験している。W杯で日本は「ベスト8」に留まり優勝を逃したものの、王者となったスペイン女子代表とグループステージ(GS)で対戦した際には相手に一切の得点を許さず4-0で圧勝しており、個々の選手やチームの活躍が際立った大会であった。あれから約1年、強化期間を経て挑むパリ五輪は前回W杯メンバーが大多数ということもあり、アンケートでは回答の半数以上となる約58%が金メダル獲得を期待する結果となった。一方で「メダル獲得なし(4位以下)」を予想する声も24%存在した。また、パリ五輪のGS初戦で再びスペインと対戦する日本女子代表に対して、70%以上が「勝利する」と予想。6月14日発表のFIFA女子世界ランキングで1位のスペインに対し日本は7位だが、W杯での快勝が世間に与えたインパクトは大きいようだ。
パリ五輪で、なでしこジャパンが獲得するメダル予想
金・・・57.8%
銀・・・8.4%
銅・・・9.3%
なし(4位以下)・・・24.5%
グループステージ初戦、日本VSスペインでの勝者予想
日本・・・71.8%
スペイン・・・19.4%
引き分け(無得点/0-0)・・・3.6%
引き分け(得点有/1-1以上)・・・5.2%
これらの結果をみると、多くの人がなでしこジャパンのGS突破に大きな期待を抱いているのがわかる。しかし、その先については優勝への期待感を持ちつつもドイツ、フランス、オーストラリアなどFIFAランキング上位国との対戦を突破し得るとは言い難いようだ。
果たしてなでしこジャパンは金メダルを掲げられるのか?GS突破後のチームの動きに世間の注目が高まりそうだ。

ゴールデンブーツ宮澤への期待
昨夏のW杯で世界中の観客を魅了した選手の1人がMF宮澤ひなた。同大会で5得点を挙げ、ゴールデンブーツ賞(最多得点王)に輝いた。パリ五輪で最も多く得点しそうな選手予想
1位:MF宮澤ひなた・・・36.3%
2位:MF清家貴子・・・29.5%
3位:FW田中美南・・・23.3%
4位:FW植木理子・・・11%
次に投票数が多かったMF清家貴子やFW田中美南は、これまでWEリーグ(日本女子プロサッカーリーグ)で活躍してきた選手だが、今回のアンケート期間中に海外移籍が決定。清家は三菱重工浦和レッズレディースからイングランド1部のブライトン・アンド・ホーブ・アルビオンへ、田中はINAC神戸レオネッサからアメリカ1部のユタ・ロイヤルズへと拠点を移し新たな挑戦をスタートさせる。WEリーグでも存在感あるプレーで注目を浴びてきた2名だが、海外移籍によって更に世間の注目度がUP!発表後はアンケート投票数が伸び、清家と田中が宮澤を追いかける結果となった。
そして意外にも票数が伸びなかったFW植木理子だが、7月13日に開催された『MS&ADカップ2024 ~能登半島地震復興支援マッチがんばろう能登~』では、ガーナ相手に堂々のヘディングで得点を決めている。FWらしい強さと攻撃力、他の選手には真似できない得意技の”植木ヘディング”でパリ五輪でも重要な場面で活躍してくれそうだ。

チームのレベルアップにユース育成の声
メダル予想アンケートの結果を読み解くと、少なくとも半数以上が現在のなでしこジャパンを「勝てるチーム」と評価し期待していることがわかった。ここで、2004年から2024年までの20年間に開催されたW杯とオリンピックを振り返ってみよう。なでしこジャパンは2011年ドイツW杯での優勝を皮切りに、翌2012年ロンドン五輪では準優勝で見事銀メダルを獲得。さらに2015年にはカナダW杯でも準優勝と好成績を収めている。この2011年から2015年の期間はチームに勢いがあり『NADESHIKO JAPAN』の名を世界に浸透させた黄金時代とも言える。なでしこジャパン過去20年間(2004年~2024年)の成績
オリンピック2004年アテネ・・・ベスト8
2008年北京・・・ベスト4
2012年ロンドン・・・準優勝(銀メダル)
2016年リオデジャネイロ・・・予選敗退
2020年東京・・・ベスト8
FIFAワールドカップ
2007年中国大会・・・グループステージ敗退
2011年ドイツ大会・・・優勝
2015年カナダ大会・・・準優勝
2019年フランス大会・・・ベスト16
2023年オーストラリア&ニュージーランド大会・・・ベスト8
招集メンバーが変わってもチームのレベルを落とさず保つことはもちろんだが、日本女子サッカーの将来を考えると更に重要なのがレベルの底上げだ。では、チームのレベルアップに欠かせないものとは何だろう?今回のアンケート調査では全体の約半数が「ユース選手の育成」と回答しており「選手の海外移籍(海外リーグでの経験)」と回答した人は約37%に留まった。その他の意見として、日本サッカー全体を視野に入れた「サッカー業界の改革」や前述の黄金時代を生み出したレジェンドの1人宮間あや選手のような「名選手の登場」を願う声が寄せられた。
なでしこジャパンのレベルアップに欠かせないことは?
選手の海外移籍(海外リーグでの経験)・・・37.3%
ユース選手の育成・・・54.9%
その他・・・7.8%
国内リーグがレベルアップすれば、WEリーガーたちに海外移籍のチャンスが広がり海外リーグで経験を積むことができる。他国での経験は必ずやなでしこジャパンのレベルアップへと繋がるだろう。海外移籍する選手が増えれば、国内リーグの担い手となるユース選手たちにも注目が集まる。そのため、即戦力となり得る若手選手の育成は重要課題だ。いずれにせよ、今後のなでしこジャパンを後押しする最大活力のひとつが我々の声援であることは間違いない。パリ五輪で王座を目指すなでしこジャパンを応援しよう!