2025明治安田J1リーグ第14節の計8試合が、5月3日に各地で行われた。同リーグ11位の湘南ベルマーレは、敵地パナソニックスタジアム吹田にて同14位ガンバ大阪と対戦。
前半だけで4失点と、瞬く間に崩壊した湘南。攻撃配置が良い場面もあったが、要所で窺えた緩みがことごとく失点に結びついてしまった。
ここでは湘南が4失点を喫したG大阪戦の前半を振り返るとともに、同クラブが早急に改善すべきポイントに言及する。
この失点シーンにおける湘南の根本的な問題点は、GK一森のロングパスに反応した岸本と競り合う選手がいなかったこと。ここでは湘南DF畑大雅とMF小野瀬康介のいずれかが対応すべきだった。その場に人が立っているだけの緩慢な守備を、試合開始直後にしてしまったことは反省すべきだろう。
畑に限らず、速攻を浴びた際のボールが無いサイドのウイングバック(サイドバック)の帰陣はどのチームも遅れがち。
また、2失点目の直前に相手最終ラインと中盤の間でボールを受けた湘南MF池田昌生がワンタッチでタッチライン際の鈴木雄斗へパスを送っていれば、G大阪陣営にボールを奪われることはなかっただろう。こうした各選手の小さな綻びが致命傷に繋がる。サッカーという競技の難しさや残酷さを、筆者は改めて痛感した。
小野瀬と共にインサイドハーフを務めた池田も、アラーノ(相手サイドハーフ)の斜め後ろに立ち味方センターバックからのパスコースを創出。2失点目の遠因となったボールロストはもったいなかったが、ポジショニングは秀逸だった。
このように相手サイドハーフの両斜め後ろに湘南のウイングバックやインサイドハーフ、及び降りてきたFWが立つと、味方センターバックがボールを運んだ際に複数のパスコースができる。こうなると相手チームが守備の的を絞りにくく、プレスの出足も鈍りやすい。この攻撃配置は継続すべきだ。
この場面ではアラーノの斜め後ろに立っていた池田が相手最終ライン背後へ走る動きを見せたため、自陣からボールを運んだ大岩としては鈴木雄斗へのパスが無難な選択肢に。一見すると無難なこの横パスが、G大阪の守備や速攻のきっかけとなり、アラーノのクロスボールに反応した岸本に追加点を奪われてしまった。
3バックにおける左右のセンターバックがボールを運んだ際に、味方ウイングバックがタッチライン際且つ相手サイドハーフの手前に立ってしまっている場合は、バックパスをしたうえで逆サイドのセンターバックから攻撃をやり直すのが望ましい。これに加えウイングバックが自陣後方タッチライン際や相手サイドハーフの手前に立たないことを徹底すべきである。ウイングバックの立ち位置が悪いことで、攻撃のリズムを掴めない試合が一昨年から散見されるだけに、湘南としては早急にこの問題を解決したいところだ。
前半35分には、湘南最終ラインの統率が乱れたことでG大阪に4点目がもたらされる。アウェイチームは宇佐美のフリーキックを弾き返したものの、その後自陣ペナルティエリア内で最終ラインが不揃いに。ペナルティエリア内の相手選手をオフサイドポジションに置けなかったうえ、ゴールエリアに立っていたG大阪のDF半田陸にクロスボールが送られると、半田のラストパスに反応したDF中谷進之介にゴールを決められている。自陣ペナルティエリアを守るにあたり、どの選手を基準にどこまで最終ラインを上げるのか。これが曖昧になりがちなのも湘南のかねてからの弱点であり、ここに来て攻守の問題点が噴出した格好だ。
(※)本記事の試合時間は、1分以内の秒数を切り上げて表記。
最終スコア0-4で敗れている。
前半だけで4失点と、瞬く間に崩壊した湘南。攻撃配置が良い場面もあったが、要所で窺えた緩みがことごとく失点に結びついてしまった。
ここでは湘南が4失点を喫したG大阪戦の前半を振り返るとともに、同クラブが早急に改善すべきポイントに言及する。

キックオフ直後に重大な守備エラー
この試合における両クラブの基本布陣は、G大阪が[4-2-3-1]で湘南が[3-1-4-2]。前半2分にG大阪のGK一森純のゴールキックでプレーが再開されると、同選手からのロングパスが味方DF岸本武流(右サイドハーフ)、FWデニス・ヒュメット、MFファン・アラーノの順で繋がる。アラーノと湘南MF鈴木雄斗との競り合いで生まれたこぼれ球をヒュメットが拾うと、同選手がペナルティエリア外から強烈なシュートを放ち、先制ゴールを挙げた。この失点シーンにおける湘南の根本的な問題点は、GK一森のロングパスに反応した岸本と競り合う選手がいなかったこと。ここでは湘南DF畑大雅とMF小野瀬康介のいずれかが対応すべきだった。その場に人が立っているだけの緩慢な守備を、試合開始直後にしてしまったことは反省すべきだろう。

小さな綻びが2失点目に直結
前半12分には湘南が敵陣右サイドでボールを失い、ホームチームの速攻を浴びる。ここではG大阪のFW宇佐美貴史が湘南最終ラインの背後へ抜け出しており、このときのDF畑の帰陣が遅れている。トップスピードへの到達が僅かに遅れたのが災いし、宇佐美のシュートのこぼれ球を岸本に押し込まれてしまった(得点は前半13分)。畑に限らず、速攻を浴びた際のボールが無いサイドのウイングバック(サイドバック)の帰陣はどのチームも遅れがち。
湘南もこのシーンを教訓とし、ボールが無いサイドにいる選手の危機察知能力や守備意識を高めたいところだ。
また、2失点目の直前に相手最終ラインと中盤の間でボールを受けた湘南MF池田昌生がワンタッチでタッチライン際の鈴木雄斗へパスを送っていれば、G大阪陣営にボールを奪われることはなかっただろう。こうした各選手の小さな綻びが致命傷に繋がる。サッカーという競技の難しさや残酷さを、筆者は改めて痛感した。

秀逸だった小野瀬と池田の立ち位置
湘南は鈴木淳之介と大野和成の両DFのポジションを入れ替えつつ、センターバックを起点に攻撃を組み立てる。G大阪が[4-4-2]の守備隊形で構えたところ、宇佐美(2トップの一角)の斜め後ろに小野瀬がタイミング良く立ち、味方センターバックからのパスコースを確保。湘南MF奥野耕平(中盤の底)がG大阪の2トップに監視されるなか、小野瀬のこのプレーが同クラブのパス回しのアクセントになっていた。小野瀬と共にインサイドハーフを務めた池田も、アラーノ(相手サイドハーフ)の斜め後ろに立ち味方センターバックからのパスコースを創出。2失点目の遠因となったボールロストはもったいなかったが、ポジショニングは秀逸だった。


湘南が見せてしまった隙とは
チーム全体としての攻撃配置は概ね良かったものの、前半29分に喫した3失点目の直前では、右ウイングバック鈴木雄斗がタッチライン際且つ相手サイドハーフの手前で味方DF大岩一貴のパスを受けてしまっている。これにより鈴木雄斗がアラーノ(G大阪の左サイドハーフ)に寄せられ、ボールを奪われてしまった。
この場面ではアラーノの斜め後ろに立っていた池田が相手最終ライン背後へ走る動きを見せたため、自陣からボールを運んだ大岩としては鈴木雄斗へのパスが無難な選択肢に。一見すると無難なこの横パスが、G大阪の守備や速攻のきっかけとなり、アラーノのクロスボールに反応した岸本に追加点を奪われてしまった。
3バックにおける左右のセンターバックがボールを運んだ際に、味方ウイングバックがタッチライン際且つ相手サイドハーフの手前に立ってしまっている場合は、バックパスをしたうえで逆サイドのセンターバックから攻撃をやり直すのが望ましい。これに加えウイングバックが自陣後方タッチライン際や相手サイドハーフの手前に立たないことを徹底すべきである。ウイングバックの立ち位置が悪いことで、攻撃のリズムを掴めない試合が一昨年から散見されるだけに、湘南としては早急にこの問題を解決したいところだ。
前半35分には、湘南最終ラインの統率が乱れたことでG大阪に4点目がもたらされる。アウェイチームは宇佐美のフリーキックを弾き返したものの、その後自陣ペナルティエリア内で最終ラインが不揃いに。ペナルティエリア内の相手選手をオフサイドポジションに置けなかったうえ、ゴールエリアに立っていたG大阪のDF半田陸にクロスボールが送られると、半田のラストパスに反応したDF中谷進之介にゴールを決められている。自陣ペナルティエリアを守るにあたり、どの選手を基準にどこまで最終ラインを上げるのか。これが曖昧になりがちなのも湘南のかねてからの弱点であり、ここに来て攻守の問題点が噴出した格好だ。
(※)本記事の試合時間は、1分以内の秒数を切り上げて表記。
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