全国トップレベルの24チームがEASTとWESTに分かれてしのぎを削る高校生年代(U-18)最高峰リーグ『高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ』。5月11日には船橋市法典公園(グラスポ)球技場でEASTの第7節が行われ、市立船橋高校と柏レイソルU-18が対戦した。
千葉県チーム同士のこの試合を3-0で制したのは柏U-18。

市立船橋は敗れたが、今シーズンから左サイドハーフにコンバートされたMF秋陽凪(3年)がドリブルで再三チャンスメイクするシーンが印象的だった。後半、相手ペースで試合が進むなか消えてしまう時間もあったが、秋の覚醒があれば市立船橋の浮上も見えてくる。獅子奮迅のプレーで攻撃を活性化していた秋に、今シーズンここまで勝利のない市立船橋の課題や自身の手応え、ドリブルの極意などを訊いた。

市立船橋MF秋陽凪「打開していく選手に」【高円宮杯プレミアリーグ2025】

「いかに自分のプレーを活かせるのか」

ー第7節のプレーを振り返っていかがですか?

秋:ここ2~3試合は試合の入りが悪かったので、そこを意識しました。前半は自分がドリブルで運ぶシーンが多かったですし、サイドからチャンスが多かったところは良かったと思います。後半は自分たちの武器であるインターセプトからのショートカウンターの回数が少なくなってきて、自分がプレーに関われなくなる時間が多くなってしまいました。なので、自分たちの武器ではないところでいかに自分のプレーを活かせるのかというところが自分の課題だと思います。

ーその課題に対し、練習で取り組んでいることはありますか?

秋:(戦術を)5バックに変えてからサイドに開いてドリブルするシーンが多かったんですけど、より相手に囲まれた状態でのドリブルが増えてきたので、首を振って周りを見ながらドリブルすることを練習から意識しています。

市立船橋MF秋陽凪「打開していく選手に」【高円宮杯プレミアリーグ2025】

勝利なしの現状に危機感

ーここまでチームとして勝利がありません。この要因をどのように捉えていますか?

秋:試合を重ねるごとに自分たちに自信がなくなってきているのはチームとして感じていますし、前までは点を取り合うゲームが多かった中で無得点で終えてしまう試合が3試合続いてしまっています。前線での仕事も出来ていないですし、シーズンが始まってから失点が多いので、そういう部分ではしっかり課題意識を持って練習に取り組んでいきたいと思います。

ー今シーズン個人としての手応えは感じていますか?

秋:試合によって自分のパフォーマンスが良い時と悪い時の波が激しくなってしまっています。波が激しい選手は監督も使いづらいと思うので、スタメンの試合でも後半から出場する試合もパフォーマンスを変えずに自分の特徴であるドリブルをチームの特徴になるくらいどんどん打開していく選手にならないとなと思います。


市立船橋MF秋陽凪「打開していく選手に」【高円宮杯プレミアリーグ2025】

目指すは“魅せる”ドリブラー

ー秋選手はドリブルからカットインしてのシュートや縦への突破からのチャンスメイクが特徴だと思いますが、意識していることはありますか?

秋:最初は左サイドを全然やっていなくて。シーズン直前になって左サイドで入るようになって慣れていない部分はあったんですけど、コーチから1対1になったときに目の前の相手ではなくて、1つ奥の相手の立ち位置でカットインと縦突破の仕方を変えたりする部分はスタッフからアドバイスをもらっていつも意識していますし、孤立する時間が長くなるサッカーにおいて、ドリブルはすごく大事なことだと思います。自分の中で色々なドリブラーを見たり調べたりしていますね。最近はドリブルばかりになってしまいがちなので、パスを選択できるような判断力を上げていければと思っていますね。

ードリブルについて、どの選手を参考にしていますか?

秋:今は辞めてしまいましたけど、エデン・アザールの動画を参考にしています。自分はスピードがないので。アザールはスピードで抜くより緩急で(相手を)抜いているシーンが多かったので、体の使い方は真似したりしていますね。後はドリブラーとして色々なフェイントも増やしていかないとなと思っているので、プロではないですけどドリブルデザイナーの岡部将和さんの動画も見たりしています。フェイントの種類も増やしていきたいですし、同じリズムだと相手に(モーションが)バレてしまうので、自分のドリブルのバリエーションを増やす為に参考にしています。

市立船橋MF秋陽凪「打開していく選手に」【高円宮杯プレミアリーグ2025】

因縁のライバル流経大柏戦へ

ー次節は好調の流経大柏高校との対戦ですが、意気込みを教えてください。

秋:自分たち市船とは真逆の立ち位置で、勝利数も相手の方が多いです。自分たちが点を取って守備を0で抑えるという理想のサッカーが流経大柏さんなので。同じ千葉同士で因縁のライバルだと思うので負けられないなと思います。


ー北海道コンサドーレ札幌U-15から市立船橋に進んだ経緯を教えてください。

秋:自分としては、実家を出て寮生活をすることで自立したいという思いがありました。メンタル面もまだ足りないので、そういう面で寮生活をしたいという思いがありました。市船はプレミアリーグに所属していることもあってこの先の進路にも繋がりますし、経験値にもなってくると思うんです。進路に迷っていた中で良いタイミングで市船さんに声を掛けてもらったので選びました。

ー北海道コンサドーレ札幌U-15時代の印象的なエピソードを教えてください。

秋:U-15時代は今のポジションとは違う右サイドバックでプレーしていて、当時の武器はインナーラップだったんです。思い出としては、小学生の時はチームが全国大会に出場することがあっても自分は出場出来なかったんですが、U-15では中3のクラブユースや高円宮杯で点を獲ることは出来たので充実した3年間だったなと思います。
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