3月12日にリモデルオープンした伊勢丹新宿店メンズ館5階「ビジネスクロージング」が、オーダースーツの展開を強化。「メイド・トゥ・メジャー(Made To Measure)」(「メジャーメイド」から呼称変更)のゾーンを大きく見直すことで、「ビジネスウエアの聖地となるべく、世界NO.1の“テーラークロージング”のフロア」を打ち出した。


今回、服飾知識レベルの高い顧客へ対応を図るため、日本人テーラー8名による「ハウス・オブ・テーラー」という空間を新設。従来から展開されてきた「テーラーケイド」の山本祐平、「テーラー&カッター」の有田一成、「ミリオーレ」の岡本良夫、「サルトリア イプシロン」の船橋幸彦、「ペコラ銀座」の佐藤英明、「シゲアキナオイ」の直井茂明、「イチロウスズキ」の鈴木一郎に加え、今回新たに東京・西荻窪にアトリエを構える「リッド・テイラー」の根本修を導入した。

売り場にはシネマ&ライブラリーとして、60・70年代の名作映画や洋古書などをそろえ、詳細なテイストをモニタリングするためのカウンターを設置。各テーラー/モデリストの世界観をフルアイテムで表現するVMDを2名のテーラーごとに“舞台”で提案した。

「以前はユニフォームとして着られていたスーツが、自分の個性を表現するコスチュームとしてこだわりを持って選ばれる時代になりつつある。世間ではスーツ自体はダウントレンドだが、オーダースーツのマーケットは拡大している。
特にこのゾーンを求められるお客様は、従来我々が提案してきたイタリアンクラシコ、ブリティッシュトラッドなど国別、スタイル別のカテゴリー分類で買い回りを求めているのではなく、どんな男になりたいかという根源的な要望を満たす必要があった。そのため今回、新たにリッド・テイラーの根本さんに加わっていただき、より幅広い顧客の嗜好への対応を図った」と三越伊勢丹紳士スポーツ統括部の鏡陽介バイヤーは説明する。

ディテールのオプションオーダーの追加も年々高まっており、顧客の細部のこだわりが顕著。そのため、ボタンなどの副資材、バンチブック(生地見本帳)の在庫なども大幅に増やしている。着地生地のバリエーションも増やし、同店の上質志向の顧客への提案の拡大は、様々な部分で対応が図られている。

更に今回の同フロアのリモデルでは、PBの「イセタンメンズ」の生産体制を見直すことで、各工程での発注体制を見直し、アパレル体質のものづくりに変更。
また、クールビズに代表される新しい時代のビジネススタイルを再編集した。さらにお直し、修理の名店として知られる「サルト」がパターンオーダーとリフォームを引っさげて、銀座、原宿、二子玉川に次いで、百貨店として初めて、同5階フロアに導入された。