中国経済対策の期待感が相場を押し上げる流れ。各種政策を決定する全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は、きょう5日午前9時(日本時間10時)に開幕し、李強・首相が冒頭で読み上げた「政府活動報告」では、今年の国内総生産(GDP)成長率目標を24年と同水準の「5.0%前後」とする方針が示された。財政赤字の比率はGDP比で4.0%とし、昨年に設定した3.0%から引き上げられる。財政出動の拡大も期待できる状況だ。個別に好材料が浮上した銘柄や、政策で恩恵を受けやすい銘柄などに買いが先行している。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、香港財閥系コングロマリットの長江和記実業(CKハチソン・ホールディングス:1/HK)が21.9%高、宝飾小売チェーン大手の周大福珠宝(1929/HK)が11.2%高、アルミ加工の中国宏橋集団(1378/HK)が7.3%高と上げが目立った。長江和記実業については、保有するパナマ運河重要港湾の運営権を売却することで、資産運用世界最大手のブラックロックと合意したことが刺激材料。売却額は228億米ドル(約3兆4174億円)に上り、巨額の売却益を計上する見込みだ。
セクター別では、半導体セクターが高い。華虹半導体(1347/HK)が7.4%、中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が6.6%、英諾賽科(蘇州)科技(2577/HK)が6.3%、ASMPT(522/HK)が3.5%ずつ上昇する。そのほか、車載AIチップの黒芝麻智能国際HD(2533/HK)が12.9%高と値を上げた。産業支援の動きが期待される。
建材セクターも物色される。中国建材(3323/HK)が7.8%高、安徽海螺水泥(914/HK)が6.6%高、華潤水泥HD(1313/HK)が6.5%高、中国西部水泥(2233/HK)が5.9%高で引けた。
中国の銀行・保険セクターもしっかり。招商銀行(3968/HK)が3.2%高、交通銀行(3328/HK)が3.0%高、中国太平洋保険(2601/HK)が3.3%高、中国人寿保険(2628/HK)が3.2%高で取引を終えた。
半面、中国不動産セクターの一角はさえない。碧桂園HD(2007/HK)が3.0%、中国奥園集団(3883/HK)が2.2%、雅居楽集団(3383/HK)が1.5%、華潤置地(1109/HK)が0.8%ずつ下落した。碧桂園の2月不動産成約は、前年比で38%減。各社の月次統計も落ち込みが目立っている。
一方、本土市場は続伸。主要指標の上海総合指数は、前日比0.53%高の3341.97ポイントで取引を終了した。金融が相場けん引。
亜州リサーチ(株)