昨夜の欧米株安が嫌気される流れ。中国のデフレ圧力や、「トランプ関税」に端を発した貿易戦争のエスカレートが不安視されている。ただ、下値は限定的。中国経済対策の期待感が強まる中、ハンセン指数もプラス圏に浮上する場面がみられている。きょう11日閉幕の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では、今年の成長目標「5%前後」とすることや、対GDP財政赤字比率を4%に引き上げる(昨年は3%)ことなどが承認された。景気浮揚のため、積極的な財政出動で、内需を拡大する方針が示されている。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、産金中国最大手の紫金鉱業集団(2899/HK)が3.7%安、金融大手グループのHSBC(5/HK)が3.2%安、太陽光発電(PV)用ガラス基板メーカーの信義光能HD(968/HK)が2.0%安と下げが目立った。
セクター別では、産金・非鉄が安い。紫金鉱業のほか、霊宝黄金(3330/HK)が11.1%、招金鉱業(1818/HK)が2.8%、洛陽モリブデン集団(3993/HK)が3.0%、中国アルミ(2600/HK)が2.1%ずつ下落した。霊宝黄金については、第三者割当増資を実施すると発表したことが売り材料視されている。
中国の不動産セクターもさえない。旭輝(884/HK)が3.5%安、雅居楽集団HD(3383/HK)と万科企業(2202/HK)がそろって3.1%安、建発国際投資集団(1908/HK)が2.9%安で取引を終えた。
半面、消費セクターは高い。フィギュア・玩具の泡泡瑪特国際集団(ポップ・マート:9992/HK)が6.7%、食品・飲料の統一企業中国HD(220/HK)が5.0%、飲料水の農夫山泉(9633/HK)が4.9%、自動車ディーラーの中升集団HD(881/HK)が4.1%、火鍋の海底撈国際HD(6862/HK)が3.7%、スポーツ用品の李寧(2331/HK)が2.2%ずつ上昇した。
新興EV(電気自動車)関連も急伸。浙江零ホウ科技(9863/HK)が13.5%高、蔚来集団(9866/HK)が9.8%高、小鵬汽車(9868/HK)が9.2%高で引けた。零ホウは10~12月期の黒字転換や新型SUV「B10」の予約好調なども好感されている。蔚来は李董事長自ら価格交渉に参加すると伝わったことが刺激。コスト削減による損益改善が期待された。新興EVのほか、半導体や人工知能(AI)関連も物色され、ハンセン科技(テック)指数は1.4%上昇している。
一方、本土市場は3日ぶりに反発。主要指標の上海総合指数は、前日比0.41%高の3379.83ポイントで取引を終了した。酒造が高い。軍需産業、資源・素材、食品飲料・小売、銀行、不動産、公益なども買われた。
亜州リサーチ(株)