レビュー

ポール・クルーグマン、トーマス・フリードマン、タイラー・コーエン。名だたる経済学の大家たちが「テクノロジーは資本主義をどう変えるか」という問いに対し、持論を展開する本があるとしたら、手に取ってみたくならないだろうか。

本書は、著者が七名の名高い経済学者や論客に現在の資本主義が抱える問題とその処方箋を問うた、珠玉のインタビュー集である。ページをめくると、「多くの人がどうでもいい仕事に就いている」「ユートピアは実現できる」「GAFAの支配には対抗策がある」など、刺激的な主張が次々と登場する。
もちろんすべてを解決する万能薬のような答えはない。だが、この七名の現状分析や問題意識には共通する点が多くある。それぞれの主張の関係性に目を向ければ、今後の政治・経済問題に対するコンセンサス形成の萌芽を感じることができる。また、彼らは友人同士であったり、影響を受け合ったりしているケースも多い。彼らの主張の相互作用を見出すときには、知的興奮を覚えるだろう。
イノベーション理論で有名なシュンペーターは、「資本主義の欠点は自ら批判されたいと願っていることだ」と述べた。批判すら飲み込んで自らを変化させる資本主義は、いま、何らかの方法で大きく変化をすべきときに来ているといえよう。現状を俯瞰し、未来を見通すうえで有用な視座を得たい。そう考えているビジネスパーソンに、うってつけの一冊だ。

本書の要点

・テクノロジーの著しい発展によって、資本主義はいま修正を迫られている。


・資本主義がいま大きな批判にさらされているのは、テクノロジーの発達のためだけではない。先進国の低成長や少子高齢化、気候変動など、従来の経済学では解決できないような問題が噴出しているためだ。
・論客たちが提唱する対応策はさまざまだ。政治の力で再分配を強化すべきという声もあれば、一日三時間労働をめざすべきという声、ベーシックインカムを実現すべきという声もある。



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