レビュー

新型コロナウイルスによって、大国アメリカの経済さえも沈みつつある。これははっきりと危機であると誰もが認識しているはずだ。

誰にとっても「対岸の火事」では済まされないこの危機。それに対して、ある時は世界的な投資家、またある時は世界を旅する冒険投資家として知られるジム・ロジャーズ氏は、「絶望しなくてもいい」と述べる。その根拠は、まさに彼自身が成功した理由でもある。
本書は、危機に面した際にどのように振舞うべきかについて、惜しげも無く語りつくした本である。ニクソン・ショック、ブラックマンデー、リーマン・ショックという世界的な経済危機を何度も生き抜いてきた投資家の語る言葉には、たしかな説得力がある。哲学的な問いの立て方から、今日からでも実践出来そうな簡単なことまで、様々な内容が書かれている。投資を考えている人にはもちろんであるが、投資そのものを行わない人であっても、人生を乗りこなすために必要な態度について、多くのことを学べるはずである。
この本の中では、ロジャーズ氏の素晴らしい成功体験・武勇伝だけではなく、失敗経験についても丁寧にページが割かれている。「失敗は成功の母」だ。失敗から何を学び、それを活かしてどのように次の手を打ったのか。たくましく、粘り強い彼の姿勢を知ることができる。失敗を恐れるのではなく、チャレンジしたいという気持ちを後押ししてくれる1冊である。

本書の要点

・2008年のリーマン・ショックを超える危機の兆しが、2020年現在の世界中でみられる。状況を分析すると、今回の危機は非常に大きいものになると考えられる。
・危機に面した時に必要な態度は、何が起きているか理解すること、大衆の動きを考えること、常識を疑うことである。
・投資が成功するために必要なのは、時が来るまで忍耐力を持って丹念に準備をしておくことである。また大きな失敗をしたとしても、状況は必ず変わるので悲観する必要はない。粘り強く、チャンスを狙い続けよう。



フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に2,100タイトル以上の要約を公開中です。exciteニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。

編集部おすすめ