レビュー

100年前、国境を越える技術といえば航空機だった。しかしその有用性が認識された瞬間から、国家に兵器として活用され、第二次世界大戦での惨禍を招いたのは周知のとおりだ。


現在では、インターネットをはじめとしたデジタルテクノロジーが「兵器」と化している。それはサイバー攻撃のように、特定の標的を狙ったものだけではない。ふだん目にする情報すら、誰かが意図的に流通させているかもしれないのだ。
デジタルテクノロジーを理解せずに、今日における国家間の覇権争いを理解することはきわめて難しい。逆に国家間の攻防を理解せずに、デジタルテクノロジーの今後を占うこともできない。インターネットは個人の力を解放し、世界の誰とでもつながることができるツールとして、既存の秩序に対抗する切り札と見なされていた。だが現実として、独裁的な国家はデジタルテクノロジーを用いて国民を監視・統制しているし、民主主義国家はフェイクニュースの拡散による国民の分断に悩まされている。
国家だけでなく、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)のようなプラットフォーマーや国際犯罪グループも力を持ち始めたいま、デジタルテクノロジーとどう向き合うか次第で、私たちの未来が決まるかもしれない。現代社会の仕組みを理解するうえで、必読の一冊と言える。

本書の要点

・テクノロジーは、いつだって国家の安全保障に影響を与えてきた。いま米国がファーウェイを排斥する動きを見せているのは、デジタルテクノロジーのパワーがますます強大になると考えているからだ。
・対立する国家の間では、情報は兵器化する。

フェイクニュースで社会不安を煽り、国民を分断するといった世論操作も、きわめて安価に実現することができる。
新型コロナウイルス感染症の拡大で、独裁国家で利用されている国民監視ツールが各国で導入されるかもしれない。米国が弱体化したいま、日本こそが自由と民主主義の砦となる可能性もある。



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