レビュー
すっかり馴染み深い言葉になった「コーチング」。その最良の入門書といわれてきた本書は、この度20年ぶりに大幅改訂が加えられ、最新版となった。
著者である鈴木義幸氏は、日本にコーチングを導入したことで知られる株式会社コーチ・エィの代表取締役社長を務めている。新版である本書には、そんな著者の視点から、「コーチングに対する誤解を解く」「チームや組織に対話を起こす」「20年間で培った新たな知識を伝える」という3つのポイントから変更が加えられている。
コーチングという言葉が一般的になった一方で、その中身については誤解されたまま受け止められていることがあると著者はいう。たとえば、コーチングは「問いかけ」を行うが、問いに対して答えがある状態で聞くのでは「コーチング」とは呼べない。コーチングに必要なのは、相手の内側にある答えを発見させるという発想だ。
62の項目(SKILL)と7つの章(LESSON)から構成されている本書には、すぐに使えるコーチングスキルや、コーチングに対する考え方が掲載されている。本要約では、コーチング全体に関わる心構えや、新設された「チーム・組織に対話を引き起こす」の章の内容を中心に紹介していく。未来を創り出す主体的な人材を創ることを目指すコーチングは、ビジネスの現場だけでなく、子育て、スポーツ、教育など幅広い分野で役立つはずだ。本書に学んで、ぜひ日常にコーチングのスキルと発想を取り入れていただきたい。
本書の要点
・コーチングは、“答えは必ず相手の中にある”という信念のもと、問いを2人の間に置き、一緒に探索し、その中で相手の発見をうながすものである。
・実際に相手が行動をおこしたかどうかがコーチングの成果を測る唯一の基準である。そのために、相手の自発性を尊重するとともに、行動に関してはいかなるいいわけをも受けつけないことを明言する。
・チームのマネジメントにコーチングを活用する場合は、異論反論をチームや組織の発展という共通の目標に向けての貴重な情報として扱う。信頼は異論反論を許し合う中でこそ育まれるのである。
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