レビュー
カルロス・ゴーン逮捕の衝撃は、まだ記憶に新しい方も多いだろう。日産の業績をV字回復させただけでなく、ルノー・日産・三菱アライアンスを世界的な企業連合に押し上げたとあって、以前は名経営者と持てはやされていた。
それが、逮捕とともにバッシングの嵐にさらされることになる。ゴーンの信用は地に落ち、イメージは限りなく悪化した。さらに、保釈中に海外に逃亡するという離れ業をやってのけたことに、怒りを通り越してあ然とした方も少なくないのではないか。
しかし、映画のような一連の逮捕劇、逃亡劇は、一面的な見方かもしれない。本書が主張する、メディアで報じられない事実や偏見的な報道に対する批判は、知っておいて損はないだろう。カルロス・ゴーンの事件は、まだ終わっていない。むしろ、真実の追求はこれから本格化しそうだ。
バブル経済が崩壊し、以来長らく低成長にあえいできた日本。多くの企業の業績が落ち込む中、業績を回復させた日産、その立役者としてのゴーンの経営手腕は、どのようなものだったのか。何が問題だったのか。日本企業は、日本は、これからどうすべきなのか。考えさせられる一冊である。
なお、本書の記載内容はあくまでゴーンサイドによる主張であること、断定的な表現が含まれることに留意されたい。人名は本書に準拠して敬称略、肩書は当時とした。
本書の要点
・逮捕され、勾留されたカルロス・ゴーンは、被疑事実に異を唱えている。
・ゴーン逮捕の背景には、ルノーと日産、フランスと日本の両政府の間での駆け引きや猜疑心があった。両者の緊張が高まる中でゴーンは疑われ、内部調査が始まった。
・ルノーと日産のアライアンスを主導したゴーンは、グローバル化を推し進め、業績が低迷していた日産をV字回復させた。
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