レビュー
「ビジネスに直結しそうにないのに、なぜESGの取り組みに注目が集まっているのだろう?」「投資家に選ばれるためにESG経営を推進するって、どういう意味?」
ESG(環境・社会・企業統治)という言葉が浸透しつつあるなかで、このような疑問を抱いたことがある人は多いだろう。
本書の著者、市川祐子氏は、楽天(現 楽天グループ)とNECグループで15年間IR(投資家向け広報)を担当。
市川氏によると、冒頭の質問の答えは「ESGは経済的な価値に関係があることだから」だ。要するにESGに取り組まない企業は「儲からない」のである。
「環境や社会問題は、政府に任せておけばいい」「直近で困っていないのだから、わざわざ時間とお金をかけて取り組む必要はない」と考えている人は、今すぐ本書を手に取ってほしい。ESGに目を向けるべき理由がすっきり理解でき、世界の見え方はもちろんのこと、今後のキャリア戦略さえ変わってくるかもしれない。
本書の要点
・ESG(環境・社会・企業統治)の取り組みは経済的な価値に直結しているため、ESGに対応しない企業は長く稼ぎ続けられない。
・「気候変動対策をしない場合に将来予想される世界の経済損失」と「今から対策する場合の世界のコスト総額」を比べると、「今から対策する場合」の方が断然安く済む。ESGに取り組むべき理由の一つはそこにある。
・企業がESGに取り組むと、当面の収益率は下がるかもしれない。その一方で、企業価値はプラスになり、投資家から高く評価される可能性がある。
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