レビュー

現代は、人類の歴史の中でもっとも書き言葉が活発な時代かもしれない。メールなどはもちろん、SNSを通じたリアルタイムのテキストメッセージは、いまやプライベートだけではなく仕事にまでかかわるようになっている。

書類は紙から解き放たれることで無限に生産され、人の間を行き来する。この傾向に、コロナ禍によるリモートワークの推進が拍車をかけていることは間違いないだろう。
しかし、日常における多くの文章は、短くとりとめのないものだ。あまりにも書くことが日常的になりすぎて、まとまった文章を作成することはかえって難しくなっているのかもしれない。ビジネスシーンでは特に、意識的に文章戦略を練らなければ、思い通りの結果を得ることはできないだろう。
本書における文章術のベースは、新聞記事というオールドな媒体の執筆手法だ。しかし、ここで紹介される文章術はそこにとどまらない。文章を書くこととは、コミュニケーションである。そしてコミュニケーションであるからには、事実を単に正確に述べるだけでなく、相手に対して意図をしっかりと伝える必要がある。本書で使われる「戦略的」という言葉は、すなわち文章によって相手を動かすところまでを見据えて、目標を達成するための技術であるという意味を含んでいる。
書き言葉がよりいっそう使われる現代だからこそ、日常の言葉を戦略的な言葉へとシフトしていかなければならない。本書はその戦略を練るために、最適な一冊となるだろう。

本書の要点

・文章はできるだけ短くすべきである。短く伝わりやすくすることこそ難しく、技術が必要だ。
・アウトラインから書くことが勧められることが多いが、むしろ見出しを最初につけることのほうが重要だ。仮の見出しを置き、それに沿って書いていくのがよい。
・最初から完璧なものを書くのではなく、とにかく最後まで書き切り、それから編集していくことでよりよいものにしていこう。



フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に2,100タイトル以上の要約を公開中です。exciteニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。

編集部おすすめ