レビュー
顔認証が原因で、身に覚えのない罪を問われる。YouTubeなどで知らぬ間に特定の意見の影響を受ける。
「デジタル化の究極の目的は、民主主義の深化にこそあるべき」だと本書の著者は語る。ピュアな技術的関心から開発されたテクノロジーであっても、それは結局は人間が使うためのものであり、誰かの不利益につながるものであってはならない。真に公正で、倫理的なテクノロジーでなくてはならない。そのために私たち市民は、民主主義を通じて、企業や市場を動かしていく必要がある。
ビッグ・テックの提供する利便性の裏に、いったいどのような闇が生み出されているのか。その闇を見せないために、自分たちの経済合理性に基づいた「自由」を守るために、かれらはいかに暗躍しているのか。本書が暴き出す現実を知れば、きっとあなたは落ち着かない気持ちを抱くはずだ。その不安こそが、私たちのテクノロジーをより善いものへと変えていくモチベーションになるに違いない。
本書の要点
・「デジタル・デモクラシー」とは、「力を持つビッグ・テックと彼らが構築した搾取的で不公正な経済モデルに対し、人々があらゆる手法やアイデア、運動を通じて抵抗し、民主的で倫理的な対案を生み出そうとしている、まさにそのプロセス」を意味している。
・自動化は、細切れで低賃金のゴースト・ワークを世界中に生んでいる。
・ビッグ・テックがこれほどの強大な力を20年で手に入れた背景には、ロビー活動をとおした政治と政策への強い影響力の行使がある。
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