レビュー

組織というものは厄介だ。構成する人員によってそのあり方はまったく違うように思える。

数は増減し、ある日うまく機能していたように見えたチームが、別の日には散々な様子を見せることもある。「売上はすべてを癒す」というのはこの世の真理かもしれないが、「売上を出すためには組織が健全に機能しなければならない」というのも、これまたよくある話だ。
もしあなたがそんなふうに考える瞬間がこれまであったのならば、本書を一読する価値は間違いなくある。なぜなら本書は、まごうことなく「組織デザイン」の本だからである。副題に「エンジニアのマネジメント」という文言こそ入ってはいるが、ここに書かれていることは、多くの組織で応用できるだろう。それだけ、さまざまな状況や場面についての対応やマインドセットが記載されているからである。本書を読んでいると、不定形で解決策のないように思えた組織というものが、ある種の法則にもとづいた現象のように思えてくるから不思議だ。
組織はそれぞれ違う色やかたちを持っており、唯一の答えや解決策があるわけではない。一方で、そこには一定の原則があるのもたしかである。組織デザインに関心のあるのであれば、ぜひ本書を手にとってみてほしい。たとえあなたがエンジニアでなくても、だ。エンジニアのマネジャーであればなおさらである。

本書の要点

・組織デザインの基本は、チームのサイズを決めることであり、1人のマネジャーがサポートするエンジニアは6~8人に限定すべきである。
・エンジニアリーダーが、プロダクトマネジメントもしなければならないときがある。その際に用いるべきフレームワークは、「問題の発見」「問題の選択」「解決策の検証」である。
・例外を一度認めると、組織の一貫性が失われる。行動の明確化に役立つポリシーを設け、それを遵守するべきだ。
・無理難題に対して「ノー」を効果的に伝えるには、誰がどの段階を担当しているかを可視化することだ。そうすることで、改善提案を実効性のある領域にしぼり込める。



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