レビュー

仕事をしていれば、不測の事態はつきものだ。計画通りに物事が進まなかったり、予想外のトラブルが発生したりすると、多かれ少なかれ焦りが生じる。

そんなとき、そのままパニックに陥ってしまう人と、どこか余裕のある人がいる。当然、最後に結果を出すのは後者だ。周囲の状況や自分の気持ちにさえも、振り回されないで落ち着いていられる人は何が違うのだろうか。
世界的な庭園デザイナーであり、曹洞宗徳雄山建功寺の住職でもある枡野俊明氏は、本書において「動じない心」を持つことの大切さを説いている。動じない心を持っている人は、あれもこれも同時に考えて、無用に焦ったりしない。今やるべきことだけを考えられるので、物事をシンプルにとらえることができるのだ。物事が順調に進んでいても、予想外の事態が起きていても、自分のやるべきことに集中することの大切さに変わりはないのである。
しかし、目の前のことに集中すべきだと言われても、そう簡単にいかないのが現実だろう。そこで著者がヒントを求めるのが禅的思考である。仕事や人間関係、将来の不安……誰の心にも一度はよぎったことがあるであろう人生の悩みに、本書はQ&A形式で答えていく。悩みの一つひとつにやさしい語り口の回答がつけられるので、禅僧である著者に悩み相談をするような気持ちで読み進めることができるだろう。共感できる悩みを見つけたら、まずはその項目から読んでみるのがおすすめだ。

本書の要点

・アイデアが出ないときは、思いきって休憩しよう。一旦考えるのをやめてみると、無意識の中から「ひらめき」が出てくるだろう。
・仏教の世界では、命は仏様からの預かりものだと考える。生かされていることに感謝をすると、人生は豊かになる。
・夢を実現するということは、自分のなすべきことを自覚してコツコツと努力することだ。
・休日に30分だけでも携帯電話の電源を切って、心静かに自然を眺めよう。孤独と向き合うことで、自分本来の姿を取り戻せるはずだ。



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