レビュー

情報社会で生きる私たちは、より短い時間でたくさんの情報を処理することに追われている。人間関係では、自分を押し殺してまわりに合わせることに神経をすり減らしている人も少なくない。

プレッシャーの多い日々の中、私たちはささいなことで傷ついたりモヤモヤしたりしている。
そんな私たちに本書が提案するのが「引きずらない力」である。「引きずらない力」とは、いい意味で「鈍感」になること。物事に執着すると生まれるのが「引きずる力」なら、その対極にある、物事に「執着しない」ことだと捉えてもいい。
本書の著者は曹洞宗の住職であり、庭園デザイナーや大学教授の肩書きも持つ枡野俊明氏だ。そんな著者が、禅宗の考え方に基づいた助言を日常に応用できる形で提示している。見開きページの右に寸言、左にその解説が書かれているというシンプルな構成だ。やさしい文章で綴られていて、するすると読み進められる。
著者は本書の冒頭で、「感情は自然なものだからクヨクヨ・イライラするのは仕方ないが、その感情を『引きずる』のはよくない」と説いている。本書では「引きずらない力」をつけて、気持ちを前向きに切り替える99の知恵が紹介されている。
普段の生活で、後悔に苛まれたり不安になったり、ささいなことに怒りがちだと感じたら、迷わず本書を開いて欲しい。ささくれ立った心がすーっと穏やかになるはずだ。

本書の要点

・世の中に自分と同じ人間はいない。「自分と人は違っていて当たり前」と割り切れば不安や怒りは生まれず、人間関係もうまくいくようになる。
・何かを選択するときは「選ぶ」ことをやめて「どっちでもいい」と考えよう。選ぶ必要があるときは「ご縁」のあるほうを優先すればいい。
・忙しいときこそ規則正しい生活をしよう。請け負う仕事は「自分の能力の2割増しくらい」がちょうどいい。
・過去や未来のことに思い悩むのは無意味である。今日に集中し、目の前のことに全力を尽くすことが大切だ。



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