レビュー
登山は非常に愛好者の多いスポーツである。本書によれば、日本で登山を愛好する人の人口は1000万人近く。
しかし、登山には「苦しい」「つらい」といったイメージもつきまとう。そして、山での事故が報道されることも少なくない。登山をしたことがない人は特に、自分には山に上る体力があるのか、安全に上れるのかを判断するのは難しいはずだ。そうなると、登山に挑戦すること自体を諦めたくなってしまう。
本書では、登山経験が豊富で運動生理学の研究を行っている著者が、その経験を生かし、登山を楽しむためのエッセンスをまとめている。登山を安全に楽しむために重要なのは、登山の特徴を知り、自分の身体の仕組みを理解することだ。もちろん、登山に必要な栄養素や計画の方法も欠かせない。
本書は安全に登山する方法を解説するにあたって、運動生理学の考え方を導入する。「そもそも上り坂で早く歩くとなぜ疲れるのか」「水を飲まないとどうなるのか」といったことを学問的に解説し、身体の仕組みを知ることでトラブルのない登山を実現しようとするのだ。トラブルのない登山をしようとすることは、安全性を高めることであると同時に、健康づくりや体力づくりにも役に立つ。
本書の要点
・登山はウォーキングと比較して心拍数の増加が高く、運動時間が長い、いわゆる有酸素運動の1つである。
・疲労せずに登山するには「主観強度」「心拍数」「登高速度」の指標が重要である。
・登山中の疲労と強く関係があるのは水と炭水化物、そしてミネラルのうち塩分である。
・登山中に多いトラブルは「筋肉痛」「膝の痛み」「下りで脚がガクガクする」と「上りでの息切れ」の4つだ。
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