レビュー
「経営学の巨匠、ミンツバーグ教授による組織論の集大成」。この一言で、要約者はすぐさま本書を手に取った。
ミンツバーグ教授といえば、『MBAが会社を滅ぼす』『戦略サファリ』などの著作で有名である。中でも本書は、世界中の経営者や研究者に読み継がれてきた未邦訳の名著{{italic}}Structure in Fives{{/italic}}を、半世紀にわたる組織観察をもとにアップデートしたものだという。原題は{{italic}}Understanding Organizations…Finally!{{/italic}}であり、「ついに組織の全体像を体系化できた!」というミンツバーグ教授の興奮が伝わってくるようだ。組織の正体とは何か。どのように機能するのか。もっとうまく機能させるためには、どうすればいいのか。本書はこうした問いに答え、読者にさらなる思索を促してくれる。
本書の構成としては、まず組織について掘り下げた後に、組織設計の基本的な構成要素と、「4つの基本的な組織形態」を提示する。つづいて、この4つの組織形態のそれぞれで大きな役割を果たす「4つの主要な力」、あらゆる組織で見られる「3つの力」が紹介される。この3つの力に着目したさらに3種類の組織形態が提示され、7つの組織形態が出そろうことになる。そのうえで、組織デザインの可能性へと展開していく。要約では、本書の核を成す「4つの基本的な組織形態」と「3種類の組織形態」を中心に取り上げた。
「読者がよりよい組織をデザインできるように」というミンツバーグ教授の願いが込められた一冊だ。組織に関する探究の旅をお楽しみいただきたい。
本書の要点
・組織の基本的な形態として、「パーソナル型」「プログラム型」「プロフェッショナル型」「プロジェクト型」の4つが存在し、それぞれの組織形態で統合、効率、熟達、協働の力が大きな役割を果たす。
・4つの組織形態すべてで触媒的な役割を果たしている3つの力は、上からの分離、文化の注入、対立の浸食である。これらの力に着目した3種類の組織形態が、それぞれ「事業部型組織」「コミュニティシップ型組織」「政治アリーナ型組織」だ。
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