レビュー
それは壮大でもあり、また狭くもある物語だ。この本にはマコンドという集落とブエンディア家の話が綴られている。
物語の中心にいるのはいつも人である。かれらは読者の多くがそうであるように、恋愛や欲望、苦しみを抱きながら人生をまっとうする。登場人物の人間模様に心を動かされるのは、読者が登場人物一人ひとりの一生を見てきたからにほかならない。要するに、それほど人物の描写が丁寧で、どこか生々しいのである。
こうしたリアリティを持つ一方で、魔術めいた要素も数多く登場する。これが、マルケスを評価するときによく言及される「魔術的リアリズム」だ。絶妙なアクセントとなって、荒唐無稽にならない程度になんともいえない味付けを物語に施している。
集落が近代的な街へと発展していく様子、そこに生きる人々の精緻な人物描写、そして物語のリアルさを損ねない程度の魔術的な要素。
※今日の観点からすれば差別的な表現もありますが、原文に忠実な翻訳の意図を汲み、そのまま掲載しています。
本書の要点
・ホセ・アルカディオ・ブエンディアはいとこである妻とともにマコンドという村を開墾し、村にはさまざまな発明品を携えたジプシーがやってきて発展し、ブエンディア一族が増えていくとともに隆盛する。
・夫婦の次男、アウレリャノ・ブエンディアは内戦の勃発とともに大佐を名乗り、野党自由党が率いる反乱軍の指揮官となってゲリラ戦に身を投じる。また、国にはアメリカ資本が到来する。
・ブエンディア一族は徐々に衰退しはじめ、ある予言書に書かれた通りの劇的な最期を迎える。
・※要約は前半部分のみですが、今回に限り、名著の物語性を念頭に、書籍全体の要点を記載しています。
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