レビュー
「リーダーはまず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」「リーダーは自身が大事にしている価値観に根ざして組織をリードする」。リーダーシップの発揮の仕方は実に多様になっている。
本書『リーダーシップ・シフト』を開いてハッとさせられたのは、次の記述だ。「多くの職場では、リーダーシップの発揮はマネジャー一人に期待されている」。だが、著者らによると、複雑な変化が次々に起こる現代の職場では、リーダーシップが必要な場面が増え、求められるリーダーシップの質も高まっているという。そのため今は、マネジャーが果たすべき役割の難易度がかつてより高まっている。こうした影響からか、一般社員の中で、管理職になりたくないと考える人は77.3%にのぼるというデータもあるほどだ。
では、「リーダーシップはマネジャーが一人で発揮するもの」という常識を覆せたらどうか。本書が提案するのは、まさにそうした「シェアド・リーダーシップ」というあり方である。チームメンバー全員が強みを活かしてリーダーシップを発揮しよう、というのだ。
著者らは、多数の研究成果をもとに、シェアド・リーダーシップな全員活躍チームをいかにつくるかを解き明かしていく。こうしたチームづくりの実践によって、メディアを賑わす「管理職の罰ゲーム化」という状況が緩和していくのではないだろうか。そんな明るい展望のもと、本書を悩めるマネジャーに贈りたい。
本書の要点
・シェアド・リーダーシップとは、「一人ひとりがリーダーシップを発揮し、その影響力が、複数のチームメンバーによって担われている創発的なチームの状態」を意味する。
・シェアド・リーダーシップは、業績、イノベーション、メンバーの満足度、メンバーのリーダーに対する評価に、プラスの関係がある。さらには、テレワークによる求心力の低下をカバーする効果も期待できる。
・本書では、シェアド・リーダーシップなチームをつくるための5つのSTEPを紹介する。
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