レビュー
本書は池上彰氏が「2040年の世界」を予測し、明るい未来をつくるための提言をまとめた本だ。「仕事」「教育」「自然災害」「暮らし」「健康」の5つのカテゴリーに分け、現在や過去に起こったことと、それらから考えられる未来予想図が記されている。
「2040年」は、2024年を起点とすると16年後の世界である。少し先のことのように感じるかもしれないが、16年前を振り返ると、ちょうどスマートフォンが世に出始めた頃である。当時はまだガラケーが優勢で、「スマホに乗り換えるかどうか」を迷っている人も大勢いた。
しかし、この16年でスマホは「生活必需品」と言われるまでになった。コミュニケーションから支払い、健康管理、テレビ視聴など、あらゆることがスマホ1台で完結できるようになり、私たちのライフスタイルは大きく変わった。このダイナミックな変化を考えると、次の16年で何が起きても不思議ではない。
これからの時代は、生成AIなどテクノロジーの進化がカギを握っているのは間違いない。本格的なAI時代を前に、戦々恐々としている人もいるだろう。しかし、未来はいつも現在の先にある。世の中を見渡し、未来を変えるかもしれない「小さな兆し」を見つけて、今からそれに備えていけばいいのである。本書を「未来への準備」の参考書として活用してほしい。
本書の要点
・AIの進化により、多くの仕事が代替されていくだろう。しかし、過去にも消滅した仕事はたくさんあったが、それで失業率が上がっているわけではない。
・子ども時代は視野を広げ、教養を身につけることが大切だ。教養はじわじわと効き、生涯にわたって役に立つ。
・急激な円安の背景には、日米の金利差がある。ドル買い円売りが進むことで、日本円が海外に流れてしまうことが危惧される。
・「ベーシックインカム」の導入に前向きな国はまだない。年金や健康保険などの社会保障を財源に充てるため、失敗したときのインパクトが大きいためだ。
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