レビュー

あなたが「自分は天才じゃないんだ」と気づいたのは、いつのことだっただろう。きっと誰しも、自分が凡人であることに気づかされた瞬間があり、そこから凡人なりの「勝ち方」を模索しながら生きてきたのではないだろうか。

本書はそんな人たちにぜひ読んでほしい一冊である。
著者のつんく♂氏は1992年にシャ乱Qとしてメジャーデビューし、「シングルベッド」「ズルい女」など4曲のミリオンセラーを記録した。1997年からはモーニング娘。のプロデューサーとしても活躍し、数々のヒットを飛ばしている。まさに誰もが認める「天才」である。
だが本書でつんく♂氏は、「結論から言うと、僕は『天才』ではありません」と語っている。曲をつくるにしても、「ひらめく」「自然に降ってくる」のではなく、とにかく「つくり出す」「絞り出す」「塗り重ねる」「削り出す」という感覚であるというのが、その理由だ。そのうえで「『凡人』だからこそ、そこに突破口がある」と考え、分析と実践を繰り返してきたという。
本書ではそんなつんく♂氏が、自分の才能の見出し方や伸びしろのある人の条件、自分の個性を磨く方法などを教えてくれる。自身も音楽家として活躍しつつ、プロデューサーとして多くの原石やプロフェッショナルを間近で見てきたつんく♂氏ならではの哲学には、誰もがハッとし、背筋が伸びることだろう。凡人としての自分を愛しつつ天才よりも大きな成果を出したいなら、今すぐ熟読すべき本である。

本書の要点

・うまくいかないのを他人や環境のせいにしてはいけない。

「自分は天才でも何でもなく、平均的な能力しかないんだ」と認め、能力を磨いていこう。
・凡人が天才に勝つには、自分の「好き」を分析し、データ化しておく必要がある。
・モーニング娘。の初期メンバーは、どのようなプロデュースに対しても「NO(できません、やりたくないです)」とは言わなかった。モーニング娘。が成功できたのは、全員がこのスタンスだったからだ。



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