レビュー
本書の著者である井上智介氏は、精神科医であり、職場の安全面や衛生面をサポートする「産業医」でもある。これまで産業医として1万人以上の人と接してきた中で、頑張りすぎたり、しんどさを抱えたりしている人を多くみてきたそうだ。
その経験をもとに、「少しでもしんどくなくなる方法を伝えたい」という想いから書かれたのが本書だ。井上氏によると、「少しでもしんどくなくなる方法」とは、「ラフに生きること」だそうだ。この「ラフ」には、「笑い」のlaughと「大ざっぱ」のrough、両方の意味がかかっている。そして、大ざっぱに笑って生きていくために、「考えなくていいこと」は考えないようにしよう、として、本書ではその具体策が示されている。
「考えなくていいこと」として挙げられているのは、「自分が悪いのかな……」「気持ちを顔に出してはいけない」「おせっかいを断ると悪いかな」「早寝早起きをしないといけない」「意見を主張するのはわがままかな」「やりがいがないとダメ」「自分は誰の役にも立っていない」「もっと頑張らないといけない」などだ。多くの人にとって、身に覚えがあるものばかりではないだろうか。
こうした「考えなくていい」項目のほとんどは、元をたどれば「他人からどう思われるか」にいきつく。周囲からよく思われたいというのは至極当然の欲求だが、価値観や好き嫌いは人それぞれ異なるため、その欲求が強すぎるとつらくなってしまうだろう。本書を読んで、不要な“考えすぎ”を手放すことに挑戦してみてはどうだろう。
本書の要点
・攻撃的な言い方をされたとき、「自分が悪いのかな……」とは考えなくていい。相手の気持ちがわからない「残念な人」からは「物理的距離」と「心理的距離」をとろう。
・「意見を主張するのはわがままかな」とは考えなくていい。
・「もっと頑張らないといけない」とは考えなくていい。常に全力投球していては疲れてしまう。「全力で頑張ろう」から「誰かが頑張るだろう」まで、6種類の「頑張る」を使い分けよう。
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