レビュー
日本企業の不正・不祥事が止まらない。品質や検査不正が横行し、会社はどんどん不健全になっていく。
その問いに対し、「カルチャー」という視点から答えるのが本書だ。「カルチャー」とは、人が働く上での土壌である。健全で良質な土壌がなければ、その上に健全な組織が立つはずがない。企業の持続的な成長や発展には「カルチャー」が欠かせないというのが本書の主旨だ。
本書によれば、現在の日本企業は「活力枯渇病」に侵されており、それを解消するには「現場力」の強化しかないのだという。「現場力」を高めるには、組織風土と組織文化から成る「カルチャー」が欠かせない。この「カルチャー」変革は、単なるトップダウンでは成しえない。現場が当事者として主体的に考え、挑戦し、成功体験を積み重ねる中で、自信と活力を取り戻さなければならない、と著者は語る。
本書では、さまざまな企業の社外取締役や経営顧問として経験を積んだ著者が、豊富な事例を挙げながら「カルチャー」変革の方法を指南する。「カルチャー」がなぜ重要かという理論だけでなく、実際にどうすればいいかを具体的に示している点が非常に実践的だ。
現代は混沌の時代である。変化が速く、確かなものは何もないように思える時代だ。そんな今だからこそ、揺るがぬ経営の指針となる「カルチャー」を見直すことに意味があるのではないだろうか。
本書の要点
・日本企業は今、不正・不祥事の頻発、技術力・労働生産性の低下など、深刻な状況にある。その要因として挙げられるのが「活力枯渇病」である。これは組織の活力が失われ、活気や熱気、やる気のようなものが消えうせた状態である。
・「活力枯渇病」を克服するには、現場力を高めるしかない。現場力の向上には組織風土と組織文化からなる「カルチャー」の変革が必要だ。「カルチャー」が強まることで、実行力である「ケイパビリティ」も高まり、組織の活力が戻ってくる。
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