レビュー
本書の著者である森博嗣は、ベストセラー作家と呼ぶべき小説家である。
工学博士の学位を持ち、国立大学に助教授(現在の准教授)として在籍しながら小説を執筆してきたという異例の経歴の持ち主だ。
著者はもともと同人誌の世界でデビュー前から作家として活動していたことが知られており、本人の弁を鵜呑みにするには留保が必要だろう。しかし趣味の庭園鉄道や飛行機模型といった分野でほとんど専門家と呼べるような知識を持ち合わせていること、そしてそういった造詣が作品にも活かされていることについては議論の余地はない。
作家になってから年収が優に1億を超え、今では1日45分しか働かないという著者が本書で考えるのは、お金を減らす方法だ。有効にお金を減らすためには、自分が欲しいと思うものを見定めなくてはならない、というのが著者の主張である。誰のためでもなく、自分のためにお金を減らすこと。果たしてそれが本当に実行できているか、ぜひ自分に問いかけてみてほしい。
本書の要点
・お金を減らす際には、それが本当に自分の満足のために使われているかをよく考える必要がある。
・見栄のためになにかを買ってはならない。また一見必要と思えるようなものでも、よく吟味すべきである。一方で、本当に欲しいと思うものにはお金を使うべきだ。
・現代は自分の欲求に対して鈍感な人が増えている。自分が本当に欲しいものを見定めるためには、子供のような好奇心を持っていろいろなことに触れなくてはならない。
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