レビュー

数字や数学が苦手だという人は数多くいる。自覚している場合だけでなく、実は自覚がないままによく理解できていない、というケースもけっして少なくないものだ。

数(すう)や論理を扱う思考は、昨今ますます重要視されるようになってきている。数字に苦手意識を持つ人にとって、その力を身につけるのは容易なことではない。数字に強くなる方法なんて何ステップも上のことのように感じられるかもしれない。
本書は、そんな人たちの悩みに応えるべく書かれた一冊だ。数学のセンスと地頭力は、小学校の算数で身につけることができる、というのが本書の主張だ。
著者は偏差値35から東京大学に合格したという経験を持つ西岡壱誠氏だ。大学受験の際に、塾講師のアドバイスで小学校の算数からやり直したという。九九や100マス計算をやり続けた結果、中高の数学の問題が解けるようになっただけでなく、他の科目の成績まで上がったそうだ。
すべての人が同じ体験をできるかはわからないが、小学校の算数を本当の意味で理解することは意外に難しい、という点にはうなずけるところがある。数学が苦手だという自覚がある人だけでなく、自分は得意だと感じている人も、改めて点検してみると思わぬ発見があることだろう。当たり前に思っていることを見つめ直すときにこそ、本当に大切な学びはあらわれるものだ。

本書の要点

・数字や数学のセンスを身につける基礎になるのは、小学校で習うレベルの算数である。


・掛け算は足し算の省略である。当然に聞こえるかもしれないが、数学はその歴史を通じて、そういった省略や置き換えを駆使して物事を簡略化し、処理しやすくしてきた。簡略化・概念化は、思考そのものをスピードアップする。
・立式は起きていることを数式として表すことで理解を助け、変数や定数の定義は変えられるものと変えられないものを区別することで、さまざまな方針を立てることにつながる。こうした思考はあらゆる分野で役に立つ。



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