レビュー
人間関係には気づかいや思いやりが欠かせない。しかし、相手に親切にしているにもかかわらず、損をしたり裏切られたりすることもある。
それに凝りて「もう、人のために行動しない!」と思っても、ついまた優しくしてしまい、再び傷つけられる……を繰り返す。これは、周りの人間に恵まれていないからなのか? 本書ではその答えに「ノー」と言う。他人に振り回されてしまうのは、相手ではなく「自分」に原因があるのである。とはいえ、それは性格によるものではなく、「脳」の働きによるものだという。
本書によると、脳は無線LANのように、無意識のうちに他人の脳とネットワークでつながれている。そのため、相手の感情がいつの間にか自分の脳に侵入し、それに同調してしまうのだ。相手があなたを「振り回されやすい人だ」と思うとそれがあなたの脳に伝わり、「私はこの人に振り回される」と自己暗示に変換された結果、振り回されるような言動を取ってしまうのだという。
逆の発想をすれば、流れ込んでくる感情を遮断したり、都合がいいように自分の脳に暗示をかけたりすれば、振り回されなくなるということだ。それどころか、人間関係が好転していく可能性すらある。
本書では、暗示を使って人間関係を改善する方法が紹介されている。「相手の呼吸に自分の肩の動きを合わせるだけで、人間関係が改善する」という驚くようなものもあるが、試してみない手はない。誰かに振り回されて悩んでいる人は、読んで損はない一冊だ。
本書の要点
・相手に振り回される原因は自分にある。相手の気持ちを優先することで相手はわがままになり、要求がエスカレートしていく。
・「脳のネットワーク」は、意識しなくても常に他人とつながっている。相手の気持ちを考えすぎると、相手の人格が自分に乗り移って“憑依”してしまう。
・他人に振り回されるのは、そうなるように自己暗示をかけているからだ。その逆の暗示を自分にかければ、相手の支配から逃れることができる。
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