レビュー
本書は、ベストセラーシリーズである『ケーキの切れない非行少年たち』の第3弾である。1作目では困難を抱える非行少年たちの背景が描かれ、続く2作目ではその支援方法について述べられた。
非行少年たちが罪を犯してしまう根本にも「幸せになりたい」という思いがある、と著者は語る。問題なのは、それを実現する適切な方法を選べないことだ。たとえば、「自殺したいけど、自分が死んだらおばあちゃんが悲しむだろう」と考える過程で、「かわいそうだから、おばあちゃんを先に死なせてあげよう」という行動に出てしまうのが、著者の主張する「歪み」である。
犯罪行為には至らずとも、こうした「歪み」を抱える人はたくさんいる。すぐにマウントを取りたがる人、自分が正しいと思って人の意見に耳を貸さない人など、覚えがある人は多いだろう。そこには怒り、自己愛、嫉妬、所有欲、判断の5つの歪みが潜んでいるのだという。本書では、歪んだ幸せを求めてくる相手、あるいは歪んだ幸せを求めてしまう自分自身とどう向き合えばいいか、その解決法が述べられている。
周囲に困った人がいる場合だけでなく、ちょっとした生きづらさを感じているなら、ぜひ本書を手に取ってほしい。自分と相手の中にある「歪み」を知ることは、楽に生きるためのヒントになるだろう。
本書の要点
・人の行動の根本にあるのは、「幸せになりたい」という思いだ。これは事件を起こした非行少年たちも同じである。
・トラブルは自分のストーリーと相手のストーリーとのぶつかり合いによって生じる。相手のストーリーを知り、自分のストーリーを見直すことで歪みの壁を克服できる。
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