レビュー

過去を知る学びを得意とする東大生に、新しいものを生み出す思考法を。こうした思いから本書の著者である宮澤正憲氏は、「考える力を鍛える教室」、通称「ブランドデザインスタジオ」を2011年に東大で始めた。

同授業は東大生のみならず、他校の生徒からも大評判となり、受講希望者が殺到するほどの人気を博した。そして修了者からは、論文やサークルの企画、そしてその後の就職活動や実際に働き始めてからも活用できたとして、「東大で最も役に立った授業」という評価を得ている。そんな大人気講義を一冊にまとめて、誰でも手に取れるかたちにまとめたのが本書である。
本書の中核をなすのは「リボン思考」と呼ばれる考え方だ。インプット、コンセプト、アウトプットという3ステップからなるシンプルなフレームであるが、極めて汎用性が高く、企画力や発想力を高めることに大いに貢献してくれるものである。このフレームを使いこなせる人が増えることは、日本の発想力の底上げになるのではないかと、著者は熱く語っている。
過去の事例のリサーチは得意でも新しいものを生み出すのが苦手、発想力を高めたいという課題意識は、日本の多くの企業に共通するものであるはずだ。今までにないアイデアを生み出す発想力を身につけたいと思ったら、本書を読むことから始めよう。

本書の要点

・インプット、コンセプト、アウトプットの3ステップからなる「リボン思考」は、新しい発想を生み出すことに長けた汎用性の高いフレームだ。
・インプットで、何をどう集めるかという素材の「集め方」自体に楽しいアイデアを盛り込んでいくことが、独創的なアウトプットへつながる。
・コンセプトの段階では、インプットの本質を端的に表し、アウトプットへの想像をかきたてるものになるよう、コンセプトをまとめていく。
・アウトプットは、コンセプトを土台にアイデアを一段ジャンプさせるフェーズだ。

仕上げに、ひとつの物語としてアウトプットを語れるようになろう。



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