レビュー
現代の企業は、どのような業種、業務形態であれ、エンジニアの貢献なくしては業務が成り立たない。だからこそ、エンジニアの開発生産性が上がれば、組織全体の利益や従業員の働きやすさも大きく向上させることができる。
本書は、執筆者たちの豊富な知識と経験に基づき、エンジニア組織の開発生産性向上のための詳細で具体的な方法が、様々な実例とともにていねいに解説された本である。実際にエンジニアの業務に携わっている人にとっては、自分が関わっている業務と照らし合わせながら、開発生産性向上のための課題とその解決策を見つけるための参考になることは間違いないだろう。また、エンジニアの業務に直接携わっていない他職種の人や経営に関わる人であっても、エンジニアの開発生産性向上をどのように実践すればよいのか、正確な理解を得るための一助となるはずだ。
本書で述べられているように、エンジニアだけでなく組織全体で開発生産性向上に関する認識を共有することが重要である。組織の中でどのような立場に置かれているにせよ、本書を読むことで得られるものは大きいだろう。
本書の要点
・生産性は「得られた成果物(アウトプット)÷投入した生産要素(インプット)」として表現されるが、それぞれの組織によって何がインプットでアウトプットなのかが異なる。自分たちにとってそれらが何を指すのか、何をもって開発生産性が向上したとするのか、事前に組織全体で認識を共有することが重要だ。
・エンジニアリングの開発生産性が向上すれば、プロダクト提供においてエンジニアリングがボトルネックになることがなくなる。迅速にプロダクトを提供できるようになるだけでなく、エンジニアの採用にも好影響をもたらすだろう。
・課題を可視化するためには、抽象的な観点の定性的な現状把握と数値に基づく定量的な現状把握が必要である。Four KeysやSPACEフレームワークといった指標が有効だ。
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