レビュー

起業家や経営者として大きな成功を収めるには、どのような経験が必要だろうか。一般的には、名門大学で学ぶ、一流企業で勤務するといった経験を思い浮かべる人が多いかもしれない。

だが本書の著者は、そのどちらも当てはまらない。
著者のポール・ホーケン氏は、喘息に悩む自分のための食材を気軽に手に入れられるよう、ボストンで自然食品店を開いた。その店を何百人もの従業員を雇うビジネスへと成長させたのちに売却し、園芸道具のメールオーダー通販会社「スミス&ホーケン」を立ち上げる。フードビジネスで付き合いのあった農家が、アメリカの園芸道具会社の怠慢について熱く語るのを聞いたことがきっかけだ。そうして創業したスミス&ホーケンもまた、成功を収めた。
本書では、そんなホーケン氏のビジネス哲学がまとめられている。そのメッセージは特別難しくも刺激的でもない。とにかく動き出すこと、誠実に取り組むこと、事象を客観視することなど、ごく当たり前のことばかりだ。だが、多くの企業が利益第一主義に走りがちな現代において、これ以上に胸に迫るメッセージは決して多くないだろう。
本書は1987年にアメリカで刊行された後、世界中で読み継がれている。著者のようにスモールビジネスを立ち上げたい人はもちろん、企業に属するビジネスパーソンも、本書から多くを学べるだろう。

本書の要点

・ビジネスにおいて、問題がゼロになることはない。

問題があるところにチャンスがあると捉え、その時々の問題に真摯に向き合うべきだ。
・「商売のセンス」の有無がビジネスの成功を左右する。このセンスは「粘り強く物事をやり遂げる力」「事実に向き合う能力」「リスクを最小にできる力」「現場で学ぶことの力」「数字で考える力」の5つの力によって構成される。
・ビジネスの成長には、市場からの「あなた(の会社)がビジネスをしていいですよ」という「パーミション(許可)」が不可欠だ。



フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に3,300タイトル以上の要約を公開中です。exciteニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。

編集部おすすめ