レビュー

大阪市に本社のある精密機械メーカー、キーエンスは売上高9000億円、営業利益率55%、社員の平均年収が2200万円という超優良企業である。本書は、同社に新卒入社しマネジャーに就任後転職、新規事業立ち上げのため再びキーエンスに戻り、現在は脱炭素経営を支援する会社の共同創業者として活躍する著者が、キーエンスの躍進の要因である徹底した仕組み化を他社でも応用できるよう、丁寧に説明したものだ。


組織に所属し働く際、最初に気になるのは自分の成績かもしれない。スタープレイヤーになることに憧れる人もいることだろう。しかし、キーエンスはスタープレイヤーに頼ることをよしとしない。1人のスタープレイヤーがいくら良い成績を出したところで、大多数の普通の従業員の成績が上がらなければ、会社全体の業績が大きく上がることはないからだ。そこで重要なのが、どんな人でもある程度の成績を出すことを可能にする「仕組み」である。
本書は、業務の標準化、仕組み化を実践していない企業の経営者や管理職にまず読んでもらいたい。仕組み化は、マネジャーの負担を軽くしてくれる。未実践の企業にとって、導入のインパクトは大きいはずだ。さらには、仕組み化を実践しようとはしているものの、実践に課題を感じている企業にとっては、本書の仕組み化のプロセスの具体的な記述が大いに役立つはずだ。

本書の要点

・一部の優秀な人材や個々のモチベーションに依存することなく、誰もが一定の成果を出せるようにするのが、仕組み化だ。
・どんなに優秀な人材がいても「頭数」には勝てない。組織の成果とはメンバーの行動の総和である。

その行動の質と量を仕組み化によって高めることができる。
・仕組み化を行うには、統一したルールを作る「標準化」、ルールを全員に行き渡らせる「浸透」、ルールを見直し再現性を高める「振り返り」、責任の所在を明らかにし引き継ぎ可能にする「責任と権限」という4ステップが重要だ。



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