レビュー

言語化力の高い人は魅力的だ。ちょっとした文章を書くときや会議で話を振られたとき、自分の思いや意見を端的にアウトプットして周囲を感心させる。

では、どうすれば言語化力を高められるのだろう?
著者の荒木俊哉氏は、電通のコピーライターだ。これまで100以上のプロジェクトにたずさわり、名だたる賞を多く獲得してきた、まさに言語化のプロフェッショナルである。
そんな荒木氏は本書で「言語化力の高い人は、話を聞くのがうまい」と断言する。おそらく多くの人が意外に感じるだろう。「言語化力と聞く力に、いったいどんな関係があるのだろう?」と。だが、話を聞くのがうまい人は、相手の頭のなかにあるモヤモヤとした思いや意見、「軸」を見事に引き出していく。この力は、相手の話だけでなく、自分の話を聞くことにも使える。他者であれ、自分であれ、その人の頭のなかにあるものを、クリアな言葉にする。このプロセスこそ「言語化」なのだ。
本書では、自分で自分の話を聞く習慣をつけることによって言語化力を磨く方法が指南される。難しそうに感じられるかもしれないが、そのトレーニングは3ステップで構成されており、1日たった3分で実践できる、シンプルなものだ。面倒くさがりの人でもきっと続けられるだろう。

著者は本書の冒頭で「とにかく5日間だけやってみてほしい。そのとき、あなたは確実に変わっている」と断言する。自分の思いや意見をパッと言葉にできる人になりたいなら、試してみる価値は大いにあるはずだ。

本書の要点

・自分の頭のなかを言語化するうえでは、自分で自分の話を聞く姿勢が必要不可欠だ。
・相手の言語化を促したいときには「できごと→(そのできごとで)感じたこと」の順で問いかけるとよい。このメソッドは自分自身にも使える。
・自分の頭のなかを言語化する3ステップは「ためる」→「きく」→「まとめる」だ。「できごと+感じたこと」をメモしたあと、その感情を抱いた理由をたくさん書き出して、まとめてみよう。余裕があれば、今後とるべき「行動」まで言語化しておけると理想的だ。



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