レビュー

これまで、「よかれ」と思って周囲に気を使って尽くし、我慢してきた人にとって、本書の内容は衝撃的かもしれない。
本書の著者は、人生相談のレジェンドとも呼ばれる、心理学者の加藤諦三氏である。

数多くの著書を持ち、ベストセラーやロングセラーも多い。本書『感情を出したほうが好かれる』も2011年に発行されて以来、10年以上のロングセラーとなった一冊だ。
本書で加藤氏は、我慢して相手に尽くすことは逃げであり、決していい結果にはならないと指摘する。特に、日本では我慢は美徳ともいわれ、自分の心身を消耗してでも、周囲に尽くそうとする人が多い。しかし、そうやって「苦労をすればいいことがある」というのは思い込みだ。そうやって自己犠牲を払いながら築いた人間関係のなかでは、いつまでも犠牲を求められるようになる。そうして自分を犠牲にすることを続けていては、幸せになれるはずがない。これまで周囲に気を使い、他の人のためにと頑張ってきた人は、本書の主張を受け入れがたく感じるかもしれない。だが、もしあなたが「自分ばかり」と思ったことがあったら、そうして自分を犠牲にすることの背後に、人から好かれたいという気持ちが隠れていないかを考えてみてもらいたい。もし思い当たる節があったら、本書はあなたの味方である。真面目に暮らしているのに、なぜかうまくいかない、努力してもむくわれないと思っている人に、ぜひ手に取っていただきたい一冊だ。

本書の要点

・自分を出していない人は、「自分を出したら嫌われる」と思いこんでいる。

しかし、ありのままの自分を出しているほうがむしろ好かれる。
・大人が見捨てられる不安を持つのは、相手に原因があるわけではない。その人が自信をなくして、自分を出せないことが原因だ。相手に迎合するのではなく、自分の判断で行動し、その結果に責任を負わなければならない。
・自己犠牲をやめないのは、その人にとって犠牲的役割に意味があるからだ。犠牲的役割を演じることはやめたほうが、周囲に心の温かい人が集まってくる。



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