レビュー

「『鬼滅の刃』のようなメガヒット漫画をつくりたいが、どうすればいいか?」
著者のもとに、こうした漫画事業立ち上げの相談が次々と舞い込んでいるという。マンガ『鬼滅の刃』の経済規模は、2020年で約1兆円といわれる。

2024年6月には、米PEファンド・ブラックストーンが電子コミックプラットフォーム「めちゃコミック」の運営会社を約2800億円で買収したというニュースが世間を駆け巡った。巨大マネーが流れ込むほど、注目度が増す日本の漫画業界。マンガ、アニメ、ゲームを含んだ「コンテンツ産業」の輸出額は、半導体産業や鉄鋼産業に肩を並べるほどだ。
そもそも、なぜ日本はマンガのメガヒットを生み出し続けているのか? そのヒントは、「裾野広ければ頂き高し」だと著者はいう。漫画家がたくさんいて、多様な作品が生まれるほど、面白い作品ができて業界が発展するという意味だ。日本の漫画業界は、まさにこれを体現してきたと著者は考察する。ではなぜ、この創作の好循環をつくれたのか。はたして漫画ビジネスへ参入し、大ヒットを生み出せるのだろうか? 
著者は、コンサルタントを経て漫画業界に参入し、15年間この業界の分析と検証を行っている。そんな著者が、ビジネス視点に立ちながら、世界で通用するマンガのつくり方について考察を深めていく。本書を読むと、創作者たちへの愛がにじみ出ていて、胸が熱くなる。さらにはマンガを読みたくなり、漫画ビジネスの深みにどっぷりハマってしまうこと請け合いだ。

本書の要点

・マンガのメガヒットを生むカギは「裾野広ければ頂き高し」にある。


・マンガは紙の低迷を電子コミックの奇跡的な伸びでカバーし、漫画業界は未曾有の好景気に入った。
・動画配信サービスの台頭と相まって、ウェブトゥーン市場が成長している。
・日本のエンタメ産業の発展には、「非合理がゆえの合理」を維持しながら、つくり手のパワーを増幅する環境を整備し、海外にビジネスを仕掛けることが必要だ。



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