レビュー

人気うどんチェーンの「丸亀製麺」。丸亀製麵といえば、ライブキッチンを思い出す方は多いのではないだろうか。


職人さんが粉からつくる手打ちうどん。白い湯気が上がる大きな釜からは、アツアツのうどんが茹で上がる。その様子は見ていて楽しく、ワクワクした気分になる。
本書は丸亀製麵を中心に、著者・粟田貴也氏率いる「トリドール」の創業ストーリーから経営戦略までを記した一冊だ。約40年前、小さな焼き鳥屋からはじまったトリドールは、今では世界28の国と地域に展開するグローバルカンパニーに成長した。
競争と新陳代謝の激しい外食産業で、なぜここまで大きくなれたのか? 著者はその理由を、トリドールが「強み」と「人」を大事にし続けてきたことだと語る。強みとはずばり、「感動という体験価値」だ。たとえば、丸亀製麺はすべての店で職人が粉からうどんを打っている。サイドメニュー含め、オーダーや売れ行きにあわせて調理をするため、スタッフの数も多い。効率やコストを考えると正解には見えないが、どんなに店舗が増えても、それを捨てなかったことが成長の最大の要因なのだという。
私たちが外食をするとき、なぜその店を選ぶのだろう。お腹を満たすことは大事だが、それ以外の「何か」を求めているはずだ。
それこそがワクワクであり非日常感であり、つまるところ「感動」なのではないだろうか。
本書はノンフィクションとして楽しめる一方、経営本としても学びが多い。ぜひ多くの方に手に取っていただきたい。

本書の要点

・1985年、著者は兵庫県加古川市に小さな焼き鳥屋を出店した。「いずれは3軒持ちたい」という思いから、店名を「トリドール3番館」にした。
・香川県の小さな製麺所でうどんを食べたことが、「丸亀製麺」誕生のきっかけとなった。
・人を惹きつけるのは、食の「感動体験」だ。
・店のチェーン化には「標準化」の罠がある。しかし、一番の強みを手放さなければ人気を損なうことはない。
・コストカットや効率化より「繁盛店をつくること」が大切だ。それが結果的に持続的な出店につながる。



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