レビュー
本を読むことは、習慣的な行為だ。本を読む習慣がある人は、いつもバッグに本を入れて持ち歩き、すきま時間が少しでもあれば本を開いて読む。
著者もまた、本を読むことに悦びを感じ、常に何かしらの本を読み続け、これまで大量の本を読了してきた人物だ。しかし、本書では、本は小さな書棚に収まるだけの量として、百冊だけあればいいと主張されている。本棚に百冊の本を収めて、それを全て読むとなると、日頃あまり本を読まない人からすれば十分に多いと感じられる冊数かもしれない。一方、本をたくさん読む習慣がある人からすると、少ないと感じられる冊数だ。しかし、自分の人生において本当に大切と感じられる「ベスト100」は、誰にとっても限定するのが案外難しいものなのかもしれない。
本書は、本との向き合い方や読み方についての考え方が示された読書術の本でもあり、純粋に読書の愉しみが表現されたエッセイでもあり、巻末の「百冊選書」のように必読書リストとしても参考になる本でもある。また、各章がA面とB面に分かれており、速読と遅読についてのように相反する考え方がそれぞれ述べられている特徴的なスタイルがとられている。その多面的な観点に触れると、読者もすぐに何か本を読み始めたい気持ちにさせられるだろう。
本書の要点
・本は、百冊あればいい。それは、大量の本の中から自分にとっての正典となる百冊を自分の力で選ぶということだ。
・本棚に深みがあり見栄えの良い本を並べておけば、すぐに読めなくても次第に自分が本に似合う人間になれる。
・読む本を選ぶときには、自分がはまっている関心事を深堀りするように選ぶと同時に、定評のある必読リストに沿って選び、外からの影響で自分を変えることも必要だ。
・本を読む人は、人を愛し、自分を幸せにすることができる。だから、本を読むのは、幸せになるためなのだ。
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